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昼休み・戦い

「それで桂木さん。本当にそのままでいいの?」


そのままって…確かに副会長は胴着に着替えてるけど…こりゃマジだな


「私も着替えた方がいいのですか?」


「別にそのままでもいいなら構わないけど…。」


なんでそこで会長をみるんですか?そんで会長もなんでニッコリ笑ってんだ?


「会長のあの表情から察するにカメラくるから。」


カメラ?なんの事だ?あれか?クルクル回りながら空を飛ぶ怪獣か?


「私は呼んでいません。ただあの方の嗅覚は計り知れませんから。」


え…マジでカメラ来るんですか?となるとスカートノーガードは流石にマズイよな…。


「えっと…スパッツあります?」





よし…。体も温まったし準備OKだな。副会長も準備できたみたいだな。さて、やりますか。


スパーーーン!


「これはナ~イスタイミング~。今から丁度始まるみたいね~。」


ぬわっ!なんだ?誰だ?何事だ?


カメラを持った人を引き連れてやって来た一人の人。中の状況を見てからカメラの方に向き直った。


「淑女の皆さ~ん、こ~んにちは~。今日は~皆さん憧れの~副会長の~水無月さんの勇姿を~お見せします~。」


なんなんだ?放送部か?いやに間延びした喋りだな。


「水無月さんの~お相手は~…。」


あ、俺の方を見た。そんでもって俺に近付いて来た。


「確か~桂木さんよね~。顔と名前を~出していい~?」


さて、どうしたもんだろう…。ここで顔出すと騒がれそうだし…。でもマスクとかすると視界がな…。


「なんなら~あんまり映らない様にして~モザイクかけるけど~。」


あっ、それは助かるな。そうすりゃ周りにバレにくいだろうし。


「あ、じゃあお願いします。」


「はいは~い。」


そう言って放送部の人は戻って行った。


「じゃあこれ着けて。」


副会長が投げた物を受け取る俺。これはグローブか。それも総合とかで使うようなタイプだな。両手にはめて拳と手の平を打ち付ける。


パァン!


うん。いい感じだな。軽く左右のパンチを打ってみてもそれほど邪魔になる感じないし。


「いい動きだね。それじゃあルールを説明するよ。時間無制限の一本勝負。グランドは無し。投げはあり。参ったするかそこの会長が止めたら終わり。どうかな?」


スタンディングの勝負か。悪くないな。


「わかりました。」


そう言って俺は道場の真ん中の線の所に行く。副会長も同じ様にやって来てお互いに一礼する。


しかし、こういう真っ当な所でやるのも久々だな。男の頃は助っ人で行ってたけど最近呼ばれないしな。


「それでは…始め!」


会長の声で道場内の雰囲気が変わる。声を出しているのはさっきの間延びした放送部の人だけだ。


俺はゆっくりと右手を前に出す。副会長も右手を出して俺の右と拳を合わせる。


お互いに右手を引いて相手をじっくり見る。


副会長は右半身を少し引いた半身。両手は顎の辺り。体重はやや後ろ足にかかっている。よくみる空手の構えに思える。


一方の俺は流派なんかないからな。普段は構えなんか気にしないんだけど。今日は状況が状況だけに構えをとっている。


副会長と同じ様に右半身を引いた半身になって軽くジャンプしながらリズムを取る。両手は握らずお腹辺りに。某カンフースターの構えだな。


お互いに様子を見ながら円を描く様に動いていく。お互いが半周して位置が入れ替わった。そこでお互いに動きを止めた。少しの間の後、副会長が動いた。


「はっ!」


まず内腿への左のローキック。これは足を上げて流す。ローを打った副会長はそのまま距離をつめて来た。


続けて左ジャブ2発からの右。狙いはもちろん顔面。それは首を左右に振ってかわす。かわしても副会長は止まらない。左右の拳を連打してくる。ストレート、ジャブ、フックと使い分けながら打ってくる。


って結構速いぞ!最近暴れて無かったってのもあるのかもしれないけど…。


俺は副会長の拳を流し、弾き、避ける。因みに数発かすった。


ってマジで止まらねぇし!かわせる事はかわせるけどキツいな。


しゃぁねぇな…。止まらないなら打つ前に止めるか。ホントは女のコに手を出したくないんだけど…。


副会長の両肩の動きを見ながら俺も手を動かした。


パパパパパパパパァァァァン…


副会長は後ろに下がって距離を取った。そんで少し驚いた表情で俺を見てる。


へぇ~。やってみると意外と出来るもんだな。


俺がした事。それは副会長の拳のラッシュを全部迎撃した。副会長の両手にたいして俺は左一本で。まぁ速さだけだすならなんて事ないしな。


「やるね。」


副会長が唇のハジを軽く上げながら言ってきた。


「お誉めにあずかり光栄です。」


こういうときは返すのがマナーだよな?


「いくよ!」


副会長が再び突っ込んで来た。そしてまた連打を打ち込んできた。ってさっきよりさらに早いんだけど!無理無理!こんなん弾ききれねぇ!


避けれるのは避けて無理なのはガードする。


こりゃマジでマズイぞ。このままだといずれ当たりそうな気がする。


「どうしたの?打ってきなよ。」


いや、わかってます。これが挑発だってことは。ただ、このままじゃヤバいのも確かだ。…くそ!


「うらぁ!」


スパァン!


一瞬の隙を縫ってくりだした右ローが副会長の足を捉えた。


副会長は後ろに下がった。あめぇ!


「逃がすかよ!」


副会長が下がった分プラス半歩分踏み込む。


そのままの勢いで膝をを跳ね上げて副会長の腹に膝蹴りを入れる。


「くっ!」


副会長が声を上げる。俺は更に左右の掌底を副会長の脇腹にぶちこむ。


たまらずに副会長は体をくの字に曲げた。


チヤ~ンス!


副会長に向かった右足を上げた。狙うは顎。


副会長は俺の足に気付き顔を後ろに反らして俺の右足を避けて。


まだだ!


回転を止めずに今度は左の上段後ろ回し蹴りへ繋ぐ。


よし!手応え……足応えあり!


俺の左足は確実に副会長を捉えた。俺は回転を止めて態勢を整える。


副会長は横に飛ばされて倒れた。…やべぇ、やり過ぎたか?


道場内を静寂が包む中、副会長が動いた。そして………






立ち上がった。


って嘘だろ。バッチリ捉えたぜ?立てるとは思えない…。でも実際に副会長は目の前に立っている。


副会長が上体を屈める。まだ来るのか?




ドサッ…


副会長はまえのめりに崩れた。足が着いて来てないのか…?







その時、俺と副会長の間に白い物が飛び込んで来た。


「水無月さん。もう無理です。」


それは会長が投げたタオルだった。副会長は投げられたタオルを見てる。


「なによ。まだできるわ。」


「いえ、水無月さん。できると言うならその足を止めて下さい。」


副会長は自分の足を抑えながら倒れている。やっぱり膝にきてるみたいだ。


「水無月さん。俺でよければいつでも相手になるからさ。」


「くそ…。今日は私の負けよ。」




副会長は倒れたまま俺を見ながらそう言った。


キ~ンコ~ンカ~ンコ~ン…


ん、タイミングよく昼休みも終わりか。


って結局昼飯食ってねえよ!う~…午後もつかな…

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