休憩
それから紹介が終わって俺たちは3人と行動を共にすることにした。
桜と椿は巴、麗さんと楽しそうに話してるみたいだから、まぁいいだろう。
ただ話してる内容が俺のことが多いのは若干気にはなるけどな。
「で、俺は真としか話せないわけか。」
「文句を言うなら巴の防御網をかいくぐって麗さんの視線に耐えながら話してくりゃいいだろうが。」
「それは相当難易度高くないか?それにあの会話の流れだと俺が話す内容はほぼ巴も知ってることだからな。」
たしかにな。嵐と巴との付き合いはほぼ同じだからな。
「かといってちょっとやんちゃな頃の話がお嬢様学校の子たちに受けるとも思えないし。」
あ、一丁前に色々考えてやがる。
「しかし、6人になるとどこに行くかも迷うな。」
人数が増えると乗り物によっては途中で分断される可能性もあるからな。そうなったときに間違っても嵐をほかの子と二人っきりにさせらんないし。
となると必然的に分断時には俺か巴が嵐の手綱を握らなきゃいけないわけなんだが、巴にやらせるのは大変だよな。俺なら蹴り一発で黙らせられるけど。
「おーい、四人様。どこ回るか考えたいからちょっと早いけど飯食わないか?」
今はまだお昼前だからそんなに混んでもいないとおもうからゆっくり考えられるし。
案内見る限り近くに座れるところもあるみたいだからな。
「そうね。じゃあ私たちで席取るからまこっちゃんと嵐で買ってきてくれないかな?」
「了解。適当に買っていくからな。ちなみに文句は受け付けないからな。」
「わかってるよ。いつも通りね。」
これで席は大丈夫だろう。巴があれば何とかしてくれるだろう。あとは嵐が変なことしないように俺が見張ってればいいんだしな。
「嵐、行くぞ。お前の財布と荷物持つ力には役立ってもらうからな。」
「おい、お前は金を払わせた上に荷物持ちまでさせる気か?」
「こういうところでさらっと払って重いのを持つ男ってのはきっと女性からの受けがいいんだろうな。」
「よし、真。俺に任せろ。俺が全員分払うし全部運んでやる!」
ホント、扱いやすいやつだな。こいつは。
「じゃあ、買い物は二人に任せて席をとろ。あ、あそこ空いてる!」
周りをぐるっと見渡し空いてるテーブルを見つけるや否やすぐさま巴はそこへと向かっていった。
その巴に麗、そして桜と椿もついていく。
巴が見つけたのは二つのテーブルに四つの椅子の席だった。巴はまず自分の荷物をテーブルに置くと再びあたりを見渡した。
「天城さん、どこか椅子は余ってそうですか?」
「うーん、所々ありそうな気はしますね。」
椅子が四つでは二人座れない事になってしまうため現在使ってない椅子を探し中である。だが、巴は最悪椅子が一つ確保できれば嵐は別にいいかと考えているのは秘密である。すでに真の策略により全員分の代金を持つ羽目になってるのに哀れである。
「一つ借りてきた。」
テーブルに到着するや桜が椅子を一つ持って登場した。
「み、皆さんすごいですわね。」
その後ろから現れた椿はすぐに椅子に座ってしまった。
「あ、ありがとう。それなら後は近くで空いたらかりよっか。」
桜の持ってきた椅子をみた巴は周りを探すのをやめて椅子に座った。
「そうですね。空いたら赤井君の椅子を借りるとしましょう。」
麗も巴にならい椅子に腰をおろす。当然それを見て疑問に思うのは桜と椿である。
「え、6人なのにいいの?」
「いいのいいの。なんて言ったって嵐だから。」
「そうですよ。赤井君なら確保できなかったって言えば納得しますから。」
二人は平然と返し、椅子に座っている。
「まあ、私達じゃわからないけど、二人がいいって言うんなら。」
なにか今一納得しないながら桜も自分の持ってきた椅子に座る。
でもこうやって座ってると周りから見られてるのがよくわかる。
会長さんに桜さんと椿さん。三人とも綺麗だもんね。
視線を向けてるのがカップルの男性だったらその後すっごい怒られて必死に言い訳するんだろうけどね。
あ、近くでなんか口論が起きた。まぁ、私達のせいじゃないよね。
「それにしてもやっぱ休みだと混んでますわね。お昼前ですのに」
「そうね。もう少し遅かったら座るのに時間かかっかも知れないわね。」
確かに10分くらい遅かったらテーブルを確保するのも難しいだろうし、6人分の椅子なんてもっての他だとおもう。
万が一相席とかになってそれがカップルだとしたら彼氏の人がこの3人ばっかり見て彼女さんの機嫌が悪くなることは間違いないと思う。
「そういえば、桜さんと椿さんって彼氏とか居ないんですか?」
この手の話は嵐がいるとできないからするなら今がチャンスだと思う。ちなみにまこっちゃんはこういう話が始まるとどこかにいなくなるか、イヤホンしたりして話を聞かないようにするのよね。
「彼氏?私は居ないわよ。ず~っと部活ばっかりやってたから。」
「私もいませんわ。最近までそういった事に興味ありませんでしてから。」
これは結構意外ね。桜さんは活発な美人だし、椿さんはザお嬢様って感じなのに。
「じゃあ、好きな人とか気になる人とかは?」
これは聞いておかないとね。ひょっとしたらひょっとするかも知れないし。
「好きで気になってるのはさっきまで一緒に居た人ね。」
「わ、私もですわ。」
さっきまで一緒にいたって事は……ま、まさか
「あ、嵐のこと?」
「赤井君のことですか?」
あ、麗さんもびっくりしてる。まぁ、確かに驚くわね。こんな綺麗な2人なのになんて趣味が悪いんだろう。
「ちがうわよ。確かに赤井君にもお世話になったから恩はあるけど気になるのは真よ。」
ま、ま、ま、ま、ま、まこっちゃん!?
「あの人は相変わらず人気ですね。好意をもたれてる方多いですね。」
「やっぱりそうなんだ。麗さんも真の事好きなの?」
「私は友人としての好意ですね。弟を助けて貰った恩もありますし。ただそれ以上はありませんから安心してください。」
麗さんはまこっちゃんをそう思ってるのか。それは一安心だけど~~。軽く聞いたつもりなのに予想以上に大事になっちゃったよ。
「そうなると巴さんがライバルなのかな。反応がすごいし。」
な、なに言ってるのよ。私は至って冷静よ。今ならバンジージャンプくらい楽勝なくらい冷静よ。
「ま、まこっちゃんとはず~っと一緒にいるだけでそんなそ~いうのは~~。」
言葉がうまく出てこないじゃないの~~。私は冷静。私は冷静。
「今、ず~っと一緒にいるから私達に入る隙間はないとおっしゃいました?」
「私もそう聞こえたわ。巴さん、そこらへんどうなのよ?」
ま、まこっちゃ~~ん。早く戻ってきて~~~。この2人なんか怖いよ~~。