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解答

「二人の気持ちは凄く嬉しい。でも…俺は二人の気持ちに答える事は出来ない…。」


俺がそう言うと茶室内は静寂に包まれた。


「「………。」」


桜と椿は依然俯いたままだ。俺はそんな二人の前でただ立っている。


「…ま、真…。理由を聞いてもいい…?」


俯いたまま桜からそんな声が聞こえた。


「誰か…好きな人…いるの…?」


あぁ…そっか…。ここで断るとそんな発想になるのか…。


「いや?別に居ないぞ?」


「では…私達の事が嫌いなのですか?」


今度は椿だ。こっちも下を向いたままだ。


「嫌いじゃねえよ。」


「「じゃあなんで?(ですの?)」」


二人は同時に顔を上げた。二人は…………泣いていた。


「頼むから泣かないでくれよ。」


なんだか悪い事をしてるみたいだ…。


「俺から二人に聞きたいんだけど……。二人は同性愛者か?」


「そんな訳ないでしょ!」


危なっ!叫びながらいきなり殴ってくるんじゃねえよ!


「アナタは私をどういった目で見てますの?」


こっちも怖っ!笑顔なんだけど…その笑顔が黒い!


「違う!違う!そういう意味じゃ無くて!」

「違うって!いや…違わないか?まあ、とにかく違うんだって!」


なんで俺はこんなに慌ててんだ?


「じゃあどういう意味よ!返事によってはここの入り口に黒と黄色のテープが貼られるわよ!」


まて、桜!それは確実な事件だ!殺人か?殺人現場になるのか?


「この若さで死にたくないぞ!だからそういう意味じゃなくてだな…。」


桜の…違う、二人の目が怖い…。桜は実力行使で…椿は…


「返答によっては私は如何なる手を用いましても…ふふふ…。」


いかなる手をとか言ってるし!おかしいって!二人共さっきまで泣いてたんだぜ?


「二人とも落ち着け!そんで落ち着いて考えろ!今の俺と付き合うってのはお前ら二人は同性愛者になるんだぞ?」


二人が呆然としてる間に深呼吸して…


「そもそもこの状況で交際どうこうは考えらんねえんだよ!」


「この状況ってなによ!」


な、桜!お前はまだわからないと言うのか?


「今、俺の中じゃ最優先…違う、大事なのは元に戻る方法なんだよ!それ以外の事は考えらんねえんだよ!」


「そう…でしたわね。確かに今の状況を客観的に見ましたら私と桜は同性愛者になりますわね。」


よし、椿は理解してくれたみたいだ。さて、桜は?


「そっか…。私達が好きなのは男の真だもんね。あ、別に女の真が嫌いな訳じゃないからね。」


そこで訂正を入れなくてもいい。逆になんかツラい…。


「とりあえず二人とも理解してくれたな。正直、二人みたいな可愛い子に告白されて嬉しいんだ。だからこそちゃんとした返事出したい。だからまずは返事を出来る状況にならなきゃいけないんだ。」


「「えっ………。」」


二人ともなんで目を逸らす!俺なんか変な事言ったか?

(つ、椿。今、何て言われたか聞こえた?)


(聞きましたわ。確実に可愛いと言いましたわ。)


(そうよね。ヤバッ凄い嬉しいんだけど。)


(今、手元に録音機器が無かった事が悔やまれますわ。)


なんで二人でチラチラと俺を見ながらないしょ話をしてんだ?そんなに変な事を俺は言ったか?


「と、とにかく、理解しましたわ。では返事は保留という形と受け取ってよろしいですの?」


「そうだな。悪いけどそういった形になるな。」


だよな。今返事出来ない以上は保留なんだよな。


「ただ今の所戻れる目処は一切無いってのが現状だ。だからいい相手がいたら俺は応援するぞ?」


宙ぶらりんの状態でいつまでも待たせる訳にはいかないからな。


「手がかりは一切無いのですの?」


「無いなぁ。作った人は偶然出来たものだって言ってたしな。」


そう言われてその後の記憶が曖昧だけどな。気付いたら病院だったし…。


「椿は真が戻るまで待てないの?だったら他に探せばいいわ。校門の所にいる人から選べば選り取り見取りだし。そしたら真は私がもらうから。」


「そんな事は言ってませんわ!他の方など考えられませんわ!」


校門……、あぁ…他の学校の男連中か。確かに椿が声をかけたら大喜びだろうな。


「私はただ早く真を元に戻したいだけですわ。それで手がかりなどがあれば家の者に調べてもらおうとしただけですわ。」


…椿の家ってどれだけのもんなんだ?なんだか恐ろしいほどの力を持ってそうなんだけど


「早く戻したいってのは私も一緒ね。」


ありがたい事だ。普通、『今は女だけど元々男です。』とか言ったら頭がヤられてるって思われる所だぞ?


「まぁなんか手がかりあったら教えるよ。」


「ええ。そうして頂ければ私の方でも調べますわ。」




「ありがとな。さて…だいぶいい時間だし…帰るか?」


気付いたら7時とかになってるし。


「ホントだ。急がないと夕食がなくなっちゃうわね。」


「私も連絡せずに居たので急がないとマズいですわね。」


二人もあっさり同意してくれバタバタと身支度を整えだした。



「しかし…二人とも変わり者だな。みんなから無視されるような俺を好きなんて。」


「いいでしょ!好きなのは好きなんだから!」


「そうですわ。それにアナタは人気ありましてよ?」


まっさかぁ!俺に人気あるわけないだろ!みんな近付いて来ないし目は反らされてんだぜ?


「その顔は『そんな事ない』って顔ね。…まったくアンタってヤツは…。」


「ですわね。まぁ構いませんわ。それも真の個性の一つですから。」



「「そんな真が好きなんだけどね(なんですわ)」」


ありがたいな。そんなハッキリ言われると結構照れるな…。


「さ、さて…行くぞ。準備は出来たかった?」


チッ!噛んじまったじゃねえか。


「大丈夫よ。行きましょう。」


「そうですわね。行きましょう。」


なんか少し笑ってるし。チクショウ…




外に出ると辺りは暗く月と星が見えてた。


そんな中俺達は帰宅していった。






ガサッ…


「い~情報をゲットよ~。まさかあの二人がね~。さ~今から忙しくなるわ~。」


草影からカメラ、ボイスレコーダーを持って出て来た一人の人に気付かずに…

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