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お茶会【2】

「真。席、一緒していい(よろしいかしら)?」


「もちろん。歓迎…します。」


危なっ!桜と椿だけだから普通に喋ろうとしたら後ろにゾロゾロと人が居るんじゃねえか。


「よかった。それじゃあ座りましょ。」


「皆さお好きな席に座って下さいね。」


しかしなんなんだ?こんなに人を連れて来て…。ひょっとして自慢か?一人の俺を嘲笑う為に自分達のを連れて来たってのか?


うん、間違い無いな。だって好きな所に座るってのに俺から離れた席から座っていってるもんな。これってイジメだよな?


「それで皆さんどうなさったのですか?」


これ重要。この返答が『一人寂しそうにしてる俺を嘲笑いに来た』だったら泣きながら暴れるよ?


「いや~、この子達が真と話がしたいんだって。」


「話を?お…私と?」


「そうらしいのよ。人気者ね。」


話に来たならわざわざ離れた所から順々に座るなよ。普通に考えてそれじゃ話しにくいだろ。


って言いたい所だけどここはグッと堪えよう。うん、偉いぞ、俺。


「そうだったのですか。私などでよければ喜んでお相手致します。」


やっぱ第一印象は大事だからな。やっぱ好印象を与えるのは笑顔だろ。


って訳で俺はお嬢様方に笑顔を向けたんだけどそれに対する反応が無いのは悲しいな。みんな俺の顔を見てるんだけどなにも言わないし。


「ほらほら、真の笑顔に見とれてないで何か話したら?真が寂しそうでしょ。」


桜。お前の言った事は前半はともかく後半は当たってるんだけど言われるとなんとなく辛いぞ。


「あ、あの…桂木様。よろしいですか?」


おっ。誰か話かけて来たぞ。あれ…この子見覚えが…確か…。


「浅井さん…ですよね?そんなに固くならないで下さい。」


そんなに緊張されるとどうしていいかわからなくなるだろ。


「えっ?どうして私の名前を?」


「それは同じクラスですから。さすがにクラスメイトの名前は覚えてますよ。」


いくら短い期間とはいえクラスメイトぐらいはしっかり覚えておきたいからな。


「ありがとうございます!凄く嬉しいです!」


なんかものスッゴく目をキラキラ輝かせながら俺を見てるんだけど…。


「いえ…それで何を話そうとされたのですか?」


「あ、はい。あの…桂木様は歌を学ばれてたのですか?」


歌…?学ぶ…?何を言ってんだ?


「いえ、歌を学んだのは学校の授業程度です。それ以外はカラオケで歌うくらいですけど…。逆にお聞きしたいのですけど歌は授業以外で学んだりするものなのですか?」


そんなんするのって歌手とかそんな仕事をしている人だけじゃないのか?


「ご存知なかったのですの?宝華学園にも選択で声楽がありましてよ?」


椿さん…それはマジですか?


「ちゃんと外部講師呼んでるしね。結構しっかりやってるんだけど。」


おぉ…マジなんだ。高校の授業でわざわざそこまでやるんだ。流石はお嬢様学校。恐るべし!


「私が学んだのは声楽とか別れてなくて音楽までですね。でもなんで私が歌を学んでると思われたのですか?」


「私、桂木様の歓迎会も参加してましたので…。」


あ、そうだったんだ。でも歓迎会の時ってアレだよな。拍手が一つも起きなかったんだよな。


「桂木様。私も質問していいですか?」


一段落して若干落ち込みながらコーヒーを飲んでたら再び声がかかった。


「はい。構いませんよ。」


「桂木様が在学してます霞ヶ崎学園とはどんな所なんですか?」


うちの学校がどんな所かね…。さてさてなんて答えようか。


「そうですね…。生徒の数が非常に多くて色んな人がいますね。」


色んな人が居すぎて嵐みたいなバカなヤツもいるけど。


「そして体育祭や文化祭などの催しはみんなで協力して盛り上げてますし。」


盛り上げようとして爆発とかしょっちゅう起きてるけど


「毎日何か起きて退屈の無い学校ですよ。」


その『何か』にかなりの確率で俺は巻き込まれてるけどな…。


「そうなんだ。随分と楽しそうな学校なのね。行ってみちいかも。」


「それでしたら文化祭に来られたらどうですか?」


確かあっちに戻ってすぐにだったと思うし。


…そういえばうちのクラスは何をやるんだろうな。馬鹿な誰かは変な提案とかしてそうだし。


「えっ?いいの?」


「ええ。外来は自由ですから。是非皆さんもいらして下さいね。」


ここでさっきは失敗したけど再びスマイル!これもダメだったら泣こう!


そして結果は……




うん、ちょっとトイレに行ってこよう。トイレに籠もって目から水を大量に流してくる事にしよう。うん、それがいい。そうしよう…


だってさっきと同じ様にみんな下向いちゃったしさ!なんだ?俺のスマイルは見るに耐えないってか?


「真。どこに行くのよ?」


「化粧室。笑顔について考えてくる。」


俺を止めるな。なんならこの場で目から水を放出するぞ?ダムから水が出る勢いでだすよ?それがダメなら『日本の滝100選』に選ばれる位のを見せちゃうよ?


「真のは破壊力がありすぎなのよ。真だって人の目を見れなくなった事あるでしょ?」


人の目を見れなくなった事…?あれは確か中学の時…キレたゆ~ちゃんが……


あれ?なんだか体が震えて来たぞ?


「ま、真?急に震え出してどうしましたの?顔も青くなってますわよ?」


「ナンデモ無イデスヨ?私ハイツモドオリデスヨ?」


俺はいつも通りさ。さ、さて、コーヒーを飲むかな。


カチャカチャカチャカチャ…


「真。こぼれないのが不思議なくらい手が震えてるけど…。」


「ナンデモ無イデスヨ。イツモコンナ感ジデス。」


俺が震えてる訳ないだろ?局地的な地震が来てるだけだ。震源地は俺。M5.5位で。


別にキレたゆ~ちゃんを思い出して震えてる訳じゃないぞ。そりゃあんときのゆ~ちゃんは怖かったさ。


目を見た瞬間に今までの記憶が頭をよぎったし、ゆ~ちゃんの背後に鬼神が見えたし…


「真!震えがさらに大きくなってますわよ!」


「会長!真がヤバいわ!」


ヤバく無いって。いつも通り。普通普通。


「どうしました水無月さん……桂木さん。目に光がありませんよ?」


「とりあえず裏に連れて行こう。みんなゴメンね。」


会長さん、桜。俺の手を引っ張ってどこに連れて行く気だ?


されるがままに手を引かれて裏に連れていかれた俺は1時間位の間ヤバかったらしい……

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