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お茶会

「本日は急なお招きにも関わらず御参加いただきありがとうございます。皆様、存分にお楽しみ下さい。」


会長のそんな挨拶と共にお茶会は始まった。


いや~それにしても集まったな。ホール内が人で埋まってるもんな。やっぱ生徒会と椿の名前があるとすごいな。


「それで真。あんたはそんな所で何をやってるのよ。」


そんな所ってのは椿の所の人達がいた部屋。いや、現在進行形でいる部屋だな。


「腹減っちまって…。」


あんな場所じゃ思いっきり食えそうにないからな。こっちに来て


「お腹減っちゃったんですけど…。」


って言ったらあった材料で作ってくれたからありがたく頂いてるわけで…


それにしても邪魔になるの覚悟で入ったのにまさかあんなに歓迎されるとは…。


「状況はわかったんだけど…会長と幸が探してるわよ。」


おぅ…それはマズいな。形だけとは言え俺居ないとマズいだろうし…


「了解。すぐ行く。」


皿に残ってた料理を全部平らげて立ち上がる。


「御馳走様でした。お忙しいなかありがとうございます。とても美味しかったです。」


「いやいや、お嬢さんもいい食べっぷりだったぞ。見てて気持ち良かったよ。」


ペコリと頭を下げると料理を作ってくれた人がそんな事を言って来た。そりゃあ思いっきり食うさ。すげ~美味かったし。


「ほら、真、行くよ。」


桜に手を強引に引かれ部屋から出て行った。…もっとちゃんとお礼言いたかったな…。





「あ、桂木さん。どちらに?」


「ちょっと腹ごしらえを。ウマでした。」


引っ張られるままに進むと会長さんがいた。


「そうですか。桂木さんの席はあちらになってます。今回は桂木さんが主賓なので席は決めさせて頂きました。」


会長さんが指さしたのは会場のど真ん中のテーブル。ちなみに誰も座ってない。


「なんだろう…。すでにオチが予想できてきたな…。」


「とにかく座って下さい。桂木さんが居ないと始まりませんので。」


始まらないって…。すでに他のお嬢様方は各々が座ってハハハ~ンな会話してるじゃないか。


「まあいいか。あそこに座ればいいんですね。」


「はい。あとくれぐれも話し方には気をつけて下さい。」


へいへい。話す事があれば気をつけますよ。


俺は会長さんに指示された所に行って椅子に座った。


「何を飲みますか?」


座った瞬間に声をかけられた。…驚いたのは秘密だぞ。


「ではコーヒーを。ありますか?」


「はい。椿お嬢様から話は聞いておりますのでご用意してます。ご指定の豆などありますか?」


わぉ…何種類も用意してるのか。


「ブルーマウンテンは?」


「御座いますよ。お持ちしますので少々お待ち下さい。」


笑顔と共にお辞儀をしてメイドさんはどっかに行った。


そうなると俺は一人になるわけで……。周りのお嬢様方はそれぞれのグループで集まって話をしてる訳なんで…


ほら、俺いま、孤独だよ?


みんな視線は向けてくるんだけど寄ってくる気配は一切無し。あぅ……


「お待たせいたしました。」


そんな考えをしていて俺が寂しさの海に沈もうとしてるといい香りと共に声をかけられた。


香りは目の前に置かれたカップから漂ってる。


「あ、ありがとうございます。」


俺がお礼を言うとメイドさんはペコリとお辞儀をして離れて行った。


って行かないで~!マジで~!辛いんだって!孤独なんです~!


思わず叫びそうになった。でも結局声に出してないから気付かれずにメイドさんはどっかに行っちゃった。


声をかけてもよかったんだけどさ。ほら、あの人達は今は仕事中だからな。仕事の邪魔しちゃ悪いし。………寂しいなぁ、寂しいな。寂しいなったら寂しいな…。


俺は動物園で檻にいれられてる動物じゃないんだからさ。見てるだけじゃなくてさぁ…。はふぅ………


いいや。コーヒー飲もう。温かいうちに飲まないと作ってもらった人に申し訳ないし…


あ…ウマィ…。





―・―・―


会場の真ん中のテーブルには真が一人で座って飲み物を飲んでる。そして私…と言うより会長に幸、棗。それと椿は席から離れられない状況になってる。


「「桜様~。」」


声をかけてくれた人にニッコリ微笑みながら軽く手を振る。


隣にいる椿も同じ様な感じ。


「桜。真ん中だけ空いてますわね。」


「そうみたいね。」


今回のお茶会の趣旨は真がメインのはずなのに。


「「桜(椿)様。お伺いしてもよろしいでしょうか?」」


一緒のテーブルに居る子達から一斉に私と椿に質問が来た。


「な、なんですの?」

「な、なにか?」


さすがの椿もビックリしたみたい。声がすこし詰まった感じになってた。まあ、私も人の事言えないんだけど。


「「桂木様は何をお飲みになられてるのでしょうか?」」


……そんなの本人に聞けばいいじゃない。


そう言いたいのを耐えた自分は頑張ったと思う。うん、頑張った。


「聞いてみますわ。」


椿は近くにいたメイドさんを捕まえて2、3質問した。


「あなた達。そんなに真が気になるなら話に行ってみたら?今なら誰も居ないから思う存分話せるわよ?」


私がそう言うとみんな一斉に首をブンブンと横に振った。


「「む、無理です!」」


無理って…。


「無理ってなんでよ?真の事嫌いなの?」


「違います!ただ、桂木様は名画から抜け出した人のようで…。」


すごっ!信じられない誉め言葉よ。でも確かに…


真に視線を向けると…物思いにふけった表情でコーヒーを口に運ぶ姿が見えた。長いサラッサラな金髪が光を反射して輝いてるし…


確かに絵画みたいよね…


「つまりは近寄り難いみたいな感じなの?」


今度はみんな一斉に頷いた。


いや…これはやっぱりすごいわ。そりゃ1日でこれだけの人数集まる訳よ。


中身は中身で違う意味で現実離れしてるんだけどね。


「それであなた達は真と話をしてみたい?」


「それは…してみたいですけど…。」


あぁ、物怖じしそうなのかな?


「私と椿も一緒に行くから。それなら大丈夫じゃない?」


真も一人で暇そうにしてるしね。


「そういう訳で、椿、行くよ。」


「こういうのはちゃんと本人の許可をとってからするものではなくて?」


とかなんとか言いつつも席を離れる準備をしてるじゃないの。


真も一人で暇そうにしてるから話相手欲しいだろうから丁度いいかもね。

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