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お茶会準備



遅くなってすいません



やっぱお嬢様方の力は恐ろしいな。急な話だったのにホールにはしっかりとお茶会の準備ができてんだもんな。


お嬢様方ってよりは凄いのは準備をした人達か。


こりゃお礼言っておかないとな。


「椿。これの準備してくれた人ってどこにいるんだ?」


「今は厨房で休んでいますわ。この後はお茶をいれたりするはずですから。」


「厨房か。ありがとな。」


厨房…厨房…。あ、あのドアだな。ちょっと行ってくるかな。


「真。どこに行くのよ?」


「あ、桜か。ちょっとな。直ぐ戻る。」


桜に返事をしてから厨房だと思われるドアの所に向かう。


コンコン…


「失礼します。」


とりあえずノックをしてからドアを開ける。中ではメイドさんやらシェフの方々や執事さん達が休んでいた。よし、合ってた。


「あ、桂木様。なにかご用でしょうか?」


近くにいたメイドさんが気付いて声をかけて来た。あ、このメイドさんは…


「確か歓迎会の時に声をかけて頂いた方ですね。」


「はい。覚えて頂いてたんですね。」


「それはもう。あの時は誰からも話しかけられなくて困ってましたから。」


あの時の寂しさったらなかったな。歓迎会だぜ歓迎会。つまり俺をもてなしつチヤホヤ…はいいや。とにかく俺がメインだったはずなのに、みんな遠巻きに見ててさ…ひどいよな…。


「それで桂木様はどうしてこちらに?」


おっとそうだった。危うく忘れる所だったぜ。


「いえ、皆様にお礼を言おうと思って。」


「お礼…ですか?」


お礼…ですけど。なんでそんな不思議そうな顔をしてんだ?


「はい。急な話だったのにこんな立派な会場を作って頂いたのでお礼が言いたくて…。」


メイドさん、メイドさん。どうしてそんなにポカ~ンとした顔をしてんだ?


「お礼だなんて…仕事ですから。」


まあ、そう言われたら『そうですよね~』としか言えないんだけどさ…


「それでも言いたいんです。あんな立派な会場を作って頂いてありがとうございます。」


こうなりゃ向こうがなんか言う前にお礼言って退散した方がいいな。休憩の邪魔になってるかもしれないし。


「あ、いえ…。」


下げてた頭を上げるとメイドさんがポカ~ンとしてた。


「休憩の邪魔してすいませんでした。じゃあ失礼します。」


とりあえず言いたい事は言ったから行こう。戻らないと何か言われそうだし…


俺は最後に一礼して部屋から出る事にした。




「あの人はなんなんでしょう…。」


閉じられたドアを見つめたまま、私は一人呟いた。


「お~い。今の子はなんだったんだ?なんか気に食わない所でもあったのか?」


そんな私に声をかけて来たのは料理長。今日の料理を受け持ってた人。


「参ったな…。料理にだったら急がないと間に合わなくなるな…。」


料理長は頭に巻いてたバンダナを外して頭をかいた。


「いえ、そうじゃありません…。」


私はようやく我に帰って後ろを向いた……って!みんなこっち見てるじゃないですか!


「あら、料理じゃないなら飾りかしら?」


って今度はメイド長ですか!


「いえいえ!それも違います!」


飾りだったら私たちが悪いんだから後が怖いです…。


「じゃあなんなんだ?」


「じゃあなんなんですの?」


お二人とも怖いです!いえ、お二人だけではなく周りの皆さん全員が怖いです!


「桂木様はお礼を言いに来られたんです!」


「そんな冗談はいいんだよ。早く言わないと準備が間に合わなくなるだろ。」


信じてもらえてないですよ!確かに信じがたい事ですけど…。


「本当なんですよ。」

料理長とメイド長の疑惑の眼差しが止まりません…。


「うーん…。そこまで言うって事は今の子は本当にお礼を言いに来たのか。」


「そうみたいですね。俄に信じがたいですけど…。」


まあ確かにお二人の言うことも最もです。お嬢様達にとって私達はいて当然。働いてて普通の存在ですからね。


「そんなお嬢様が居るのは驚いたけどせっかくお礼言われたんだ。その気持ちを裏切らないようにしないとな。」


「そうですね。」


…準備も佳境に入った中料理長とメイド長がメラメラと燃えてますよ。


ってより私も燃えてきました!


「よしっ!お前ら!もうひとふんばりいくぞ!」


「「おぉ!」」





「なんだか裏が盛り上がってますわね。」


「そうね。真、あんたさっきあっち行ってたけどなんかあったの?」


確かにさっき俺が入ってった所から異常な熱気を感じるけど…


「いや、なにもなかったぞ?椿の所の人達がしっかりしてる人達なだけじゃないか?」



「当然でしてよ。私の家の使用人ですから全てにおいて一流でしてよ。」


そんな事をいいつつ笑い出した。しかも『オッホッホッホッ!』って!ドリルヘアーの高飛車笑いだぜ?期待を裏切らないよな~。


「はいはい。お家自慢はいいから。」


これをサラッと流せるのはすごいよな。俺なんて感動と笑いをこらえるのに泣きそうなのに。


「それで会長。席はどうするの?」


「そうですね。急なお茶会ですからギリギリまで人数もわからないでしょうから自由でいいのではないですか?」


確かに人数がわからない以上自由がいいんだろうな。…決して面倒だから適当じゃないと思う…思いたい…だったらいいな…。


なにはともあれ無事にお茶会は開けそうだな。果たして何人来るんだろう…。


まあ、生徒会と椿がいるから結構集まるんだろうけど…



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