お茶会?
「お茶会…ですか?」
「はい。お茶会です。」
今は授業の合間の休み時間。俺は次の授業の準備をしていた所だ。
そんな時にやって来たのは会長さん。自分の教室の様に入って来た会長さんはすれ違う子達に挨拶をしながら真っ直ぐ俺の所にやってきた。
そして言った事が『お茶会に出て頂けませんか?』だった。
「なんで私が?」
俺の問いに会長さんは言葉では無くもので答えを示した。俺の前に出されたのは紙の束。え~…何々…。
『桂木様が参加出来るお茶会を開いて下さい。』
『桂木様とお茶をのみながらお話をする場を設けて下さい。』
『私達の開くお茶会に桂木様をお呼びしたいのでお願いいたします。』
等々…似たような内容の嘆願書だった。
ってかさぁ~…呼ぶのくらい自分でやりゃ~い~じゃんよ~。これはあれが『アナタのような下衆な人間に私のような高貴な者が話かけるだなんてありえませんわ!』って事かなぁ?嫌われてるな~。
「そういえば最近その手の多いわね。」
「これで全部じゃないんですか?」
「これは一部です。生徒会室にはこれの何倍もの嘆願書が届いてます。」
何倍もかよ!資源の無駄遣いだろ!
「なんかいつの間にか生徒会が真の窓口になってるのよね。」
「生徒会だけではありませんわよ。私にも10人単位で来てますわよ。」
ドリルの所にもか。それはそれはご迷惑をおかけします。
「なんでドリ…椿のところにまで?」
「なんて言おうとしたのかは今はあえて聞かない事にしますわ。私の所に来るのは歓迎会を私が開いたからだとおもいますわ。」
怒ってないように見えるけど口元が若干引きつってるのがバレバレだぜ。まあ俺のせいなんだけど。
「それではますますお茶会を開かないといけませんね。」
うぁ~、めんどくせぇ~…。お茶会ってお嬢様方がお茶飲みながらウフフ、アハハ、ハハ~ンってお話するってアレだろ?
「私なんかが伺ってもご迷惑になるだけじゃないですか?」
歓迎会の時なんか誰も話かけて来なかったんだからな。どうせやってもああなるのはわかってる事だ。
「桂木さん。この件は生徒会の威厳にかかわる事です。お茶会は開きます。桂木さんには参加して頂きます。」
げっ!この眼はマジだぞ。しかも引く気配もない。
「き、急に言われましても歓迎会の時の服はありませんし…あんな服は苦手なんです。ですから無理かと…」
あんときの服は家に送っちまったし。まずなによりもスカートがまとわりついて動きにくいから嫌だ。
「だったら普段着でのにすればいいじゃない。」
「そうですわね。それでしたら準備も楽になりますわね。」
「水無月さんにしては名案です。そうしましょう。」
な、なんだ?逃げ道が無くなっていってる気がするぞ…。
「軽い準備でいいなら直ぐにでも準備できますね。」
「人手が必要なら私の方からも人を出しますわ。」
そしてなんだか着々と話が進んで行ってないか?
「あの…私の意見は…。」
「今回は取り入れません。」
今回『は』じゃなくて歓迎会に続き今回『も』なんだけど~!
「会長、場所はどうするの?」
「大ホールが開いてますのでそちらを使います。」
「ジイ、大ホールですわ。人を集めてお茶会の準備をしてちょうだい。」
だから進行が早いって!椿なんか携帯で人呼んでるし!
「会長。立ち入り許可は後で提出致しますわ。」
「そうですね。今は早さを優先しましょう。」
「ポスターできた。」
「…許可します。認印も今押しますので手分けして貼って下さい。」
「はい。わかりました!」
って一文字さん!それに甲野さん!いつの間に来たんだ!
あぁ…わかったぞ…。こりゃぁもう逃げられないや…。
こうして激動の休憩時間が過ぎて行った…




