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初日【朝】

さて…今日からついに宝華学園の生徒としての生活が始まる訳なんだけど・・・


眠い!ひたすらに眠い!こんな眠い時は屋上で寝るに限るんだけどな。屋上が出入り禁止じゃなければさ。


まぁ教室で寝てればいいか。それくらいまでなら耐えれるだろう。


んじゃ職員室に行くかな。担任に挨拶しなきゃ行けないし。職員室は一階だったな。




コンコン…


「失礼します。」


こういう礼儀は大事だからな。第一印象は重要だから。


「本日から宝華学園に通う事になった霞ヶ崎学園の桂木 真です。」


「桂木さん?こっちですよ〜。」


こっち…?どこだ?……声のする方に行けばわかるか。


えっと…。おかしいな、声のしたほうに来たけどだれも居ない。


「ここですよ〜。」


ここ?まさか下か?視線を下げるとそこに人が居た。


「ちっちゃ…。」


「あう…。そういう事は本人を目の前にして言わないでよ〜。」


そんな頬を膨らませて拗ねなくても…。メッチャ小動物だな。


「それで小学生なアナタはどなたですか?」


「丁寧な言葉で毒を吐かないでよ〜。私はアナタの担任です〜。」


はぁ?担任?この子は一体何を言ってんだ?


「それでプラカードを持った人はどちらから出てくるのですか?」


「ドッキリじゃな〜い!ホントなの〜!」


いやいや、ドッキリだろ。どうせどこかにカメラとかあるんだろ?


「ほらほら、これあげますから落ち着いて下さい。」


ポケットから某ママの味の飴をだして目の前の小学生に手渡す。


「わ〜い。ありがと〜〜。」


早速包みを剥がして飴を口に入れて幸せそうに微笑む。やっぱり子供だなぁ。


「ふぁふぅらひぃはん。ほうらいにおはひをもっへひひゃらへよ〜。」


「飴を舐めるか話すかどちらかにして下さい。」


何を言ってるのか聞き取れん。なんとなく何を言ってるのかはわかるけど。


「コロコロ♪」


どうやら飴を舐める方に集中して話す方を止めたらしい。…なかなかのつわものだ。


この状況で俺はどうしたらいいんだ?この小動物的小学生が飴を舐め終わるのを待ってればいいのか?


他の教師は……あ、居た。


「すいません。霞ヶ崎学園から来ました桂木と言います。担任の先生はどちらにいますか?」


そう、わからなければ聞けばいいんだ。


「そちらの姫宮先生がそうですよ。」


近くに居た教師が指差したのは幸せそうに飴を舐める小学生。


「そんな冗談は止めてください。」


もうバレてますから。ドッキリにあわせなくてもいいんですって。


「冗談でもなんでも無く。」


…………。


「ホントですか?」


「遺憾ながら。」


お、おのれ文〇省!一体何を考えてやがる!絶対に経歴詐称だろ!これが教師だと考えられるか!


「私はどうしたらいいでしょう?」


「姫宮先生の手を引いて教室に向かって下さい。桂木さんは2年C組です。」


おおぅ!クラスが前と変わらないとは…なんたる偶然!


とか考えてる内に話してた教師居なくなってるし!


しょうがない…あきらめるか。はぁ…転校初日だぜ?なんなんだこの苦労は…


俺は小動物的小学生に向き直る。…しかし、これを先生とは呼びにくいな。教師に見えないし。なんて呼んだらいいんだ?……小学生…ガキ…ロリ…幼女…プチ…チビ…。これらはマズイよな。となると姫宮だから…


…お姫…姫ちゃん…姫チビ…ロリ姫…チビっ子姫………試しに呼んで見るか。


「姫ちゃん。教室に行きますよ。」


俺が手を出すとその手をムギュっと握ってきた。手もちっちぇな。


まぁいい。どうやら姫ちゃんで問題ないみたいだ。その姫ちゃんは俺をジーッと見てる。これは何か期待を含んだ目だな。俺は開いてる手をポケットに入れて飴を一つ出して手渡す。


姫ちゃんはまた即効で包みを剥がし飴を口に入れた。


俺は姫ちゃんの手を引いて2年C組の教室に向かった。場所は昨日一回りしたからなんとなく覚えてる。


しかし普通引率するがわの教師の手を引いて教室に向かう転校生って一体なんなんだろうか…




そして無事に教室までやって来た。それまでに俺は姫ちゃんに3個の飴を上げた。たかられたのか?


「さて桂木さん。ここが教室だよ〜。」


それはわかってます。自ら進んでここに来ましたから。


「そ〜いえば桂木さん。リボンタイは〜?」


「ポケットに入ってます。暑かったので外してました。」


そう言うと姫ちゃんはほっぺたをプク〜っと膨らませた。俺は思わず膨らんだほっぺたを潰したくなり実行した。


「ぶふ〜〜〜!」


大方の予想通り、姫ちゃんは口から空気をはきだした。


「タイはしないとダメ〜。しかもボタンも開けすぎ〜!うらやましい…じゃなくてけしからん谷間見えてるから〜!」


今確実に姫ちゃんの本音が溢れた。姫ちゃんは見た目確実に小学生だ。身長も…体型も…。


「わかりました。入る迄に着けます。」


「ホント〜に〜?」


「はい。」


嘘です。面倒だから着けません。そのまま入る気満々です。


「ちょっと着けるんだよ〜。私が呼ぶまでにだよ〜。」


そう言って姫ちゃんは教室のドアを開けて中に入って言った。


「みんな〜。ごっきげんよ〜!」


『ご機嫌よう。』


くはっ!まさかご機嫌ようの挨拶を本当にしているとは!これだけは信じたく無かった!ぜってぇ言いたくねぇ〜!


「今日は〜ホ〜ムル〜ムの前に重大な発表がありま〜す。」


普通はここでざわつくんだけど教室内は静かだ。恐るべし。


「みんな知ってると思うけど〜、かしゅみが…かすみがしゃき……かちゅみがちゃき……。」


噛んだ。確実に三回噛んだ。


「ふぇ…ヒック…。」


あ、泣きそうだ。小学生が噛んだ挙句泣きそうだ。


「姫宮先生頑張って下さい!」

「先生ならきっと出来ます。」

「私達は先生を信じます!」


ぬぉ!なんだこの教室内の一体感は!なんだか凄いぞ。


「ヒック……かすみが…さきがくえん…から転校生が来ました。」


パチパチパチパチパチパチパチパチッ!


万雷の拍手が鳴り響いてる。姫ちゃんが言い切っただけなんだぞ?そんなに拍手が起きる事なのか?


「それじゃ〜入ってきて〜。」


これで俺に入れと?あきらかに主役を姫ちゃんにもってかれたこの状況でか?…でもここにいつまでも居てもしょうがないしな…。


よし、最大級に猫被っていくぜ。第一印象をミスると終わるからな。


ドアに手をかけて静かに開け中に入る。


「この度、霞ヶ崎学園から参りました桂木 真と申します。二ヶ月という間ですが皆さん、よろしくお願い致します。」


そんでもって深々とお辞儀をしてニッコリスマイル!


自分でやってて寒気がするぜ。鳥肌が立ってきた気がする。


視線を浴びてるのがよくわかる。ってなんか痛い視線が…。こんな怨みを買うような記憶は…


チラッ


あったぁ!見覚えのある人が俺を見てる!イヤ、睨んでる!


落ち着け俺。慌てるな。動揺を悟られるな。し、視線が痛ぇ。矢の如く突き刺さる。


俺を睨んでいらっしゃるのはデッキブラシの人。役職は生徒会副会長らしい。怨まれる覚えはあっても一度も話した事は無い。


話した事の無い人の怨みを買うなんてなかなか出来ないな…。喜ばしい事じゃないけど。


「それじゃ〜桂木さんの席は〜……あそこだよ!」


姫ちゃんはビシッと指差した。怨み視線の前の席を…。こりゃぁもうフラグが立ったとしか思えねぇ。ストレスで胃がやられない事を願うか…。


普段の何倍だろう…?20倍位はおしとやかに指差された席に向かってあるく。


へっへっへっ。近付くに連れて眼力が上がってきてるぜ。こりゃあれだね。ビームだね。怪光線だ。人を殺せる視線だよ。


「よろしくお願い致します。」


三方の人にペコリとお辞儀して席に座る。…本当は二方向にしたかったけど流石にそれは無理だった。


窓際は有難いが…逃げられない。


俺の後ろからは後頭部めがけて視線が刺さりまくってる。なんなら出血しそうな勢いだぜ。


そんで隣の人は……。


お…お…おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!


まず金髪!そしてサイドには!


キュィィィィィン!


ドリルだ!ドリル!マジでドリルだよ!こんなの実在するんだな!金髪でドリルヘアーの女!って事はだ!これは当然…。


「私は崎島 椿【さきしま つばき】ですわ。よろしくね、桂木さん。」


出た〜〜〜〜!ですわ!すっげ〜〜〜〜!超レアだよ!マジで実在したよ!典型的なお嬢様!


この子のムービーを送ったらゆ〜ちゃんとか色んな意味で喜びそうだな。


「ほら、水無月さんも挨拶したらいかかなのですか?」


ドリルお嬢様。その人には触れないでいいです。お願い…触れないで…。


「水無月 桜。よろしく。」


あの…目が怖いっす…。マジで…。


「…よろしくお願いします。」


「桂木さん…放課後空いてる?」


ほ、放課後?空いてるか?空いてるな…。非常に残念な事に…。


「はい、空いてます。」


「そう、じゃあちょっとお顔を拝借していい?」


お顔を拝借…?あぁ、ツラ貸せってことか…。こりゃ確実な呼び出しだな…。言葉は丁寧だけどそれだけに怖いぞ。


「二人でコソコソ何をお話なの?私も混ぜて下さいませ。」


ドリルお嬢様ナイス!いいタイミングで入ってきてくれた!


「話もいいけどもう授業はじまるな。」


あ、ホントだ。いつの間にやら姫ちゃんのかわりに知らない先生来てるよ。


「…残念ですけれどしょうがありませんわ。次の休み時間にでも。」


「ええ。」

「あぁ。」


二人は授業の準備をしだした。



ところで次の授業は一体なんなんだ?

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