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証明

「さてと、それじゃあ朝の続きといきますか。」


生徒会室には朝と同じメンバーが揃っている。ちなみに俺と桜が来たらもうみんな居た。


「ええ。お願いいたします。」


みんな俺を凝視してる。まあ無理も無いよな。


「まあ続きっていってももう結論は言ったんだけどな。」


だからここでするのは証明だな。まあ、なんとかなるかな。


「そうでしたね。あの写真に写っていたのは間違い無く桂木さんなのですね。」


「そうです。そういえば会長さんはなんで昨日の話からあの写真を出したんですか?」


それが疑問だったんだよな。昨日の話といまいち繋がらないんだよな。


「それは昨日の夜、一文字さんの話からある呼び名が出てきたからです。」


「呼び名ってのはアレか。」


「おそらく桂木さんが思っているものです。偽物を本物が…とおっしゃっていたので。」


ふむふむ。なるほど。


「それで調べて出てきたのがさっきの俺と嵐が写ってる写真だったんですね。」


「そうです。私だけでは理解しきれなかったので桂木さんにお見せしたのですが。」


「まあ普通は理解できないですよね。でもあれに写ってたのは間違い無く俺ですよ。」


「ちょっと待って!」


大きな声を出して立ち上がったのは桜。どうでもいいけど机を叩くな。コーヒーがこぼれるだろ。


「ズバリ聞くけど、真は男なの?女なの?」


「体は間違い無く女だな。思考に関しては変わってないから男だな。」


「マジで…?」


「困る。」


「二人は何にそんな反応してるのですか?」


会長さんの言葉に二人は一瞬顔を歪めてから口を開いた。


「私のスカートの中見た。」


「あれは一文字さんが見せてたんだろ!俺は見ないようにしてたし!」


あんときは見ないように目を閉じてたじゃないか。


ってそんな事考えてたら思い出しちったじゃねぇか!


「幸なんていいわよ!私なんてベットに入ったのよ!」


「それも俺は悪くねえ!俺の寝てる所に桜が入って来たんだろ!」


「そんなの真が気持ち良さそうに寝てるのが悪いのよ!」


ヒドッ!逆ギレかよ!


「桜。あなた何やってるの?」


「うるさいわよ、幸!」


うわ~。こりゃあ止まりそうにないな…。


「水無月さん、静かにして下さい。」


そんな騒ぐ桜を止めたのは会長だった。


「今は桂木さんの話を聞く場です。あなたの話はまた後で聞きます。いいですね。」


「は…、はい。」


こんときの会長さんは凄い迫力だった。俺ですらビビったくらいだ。


「さて、桂木さん…。」


場が静まってから会長さんが再び口を開いた時だった。


『桂木さ~ん。誰か来たよ~。』


そんな放送が生徒会室内、いや、校内に響き渡った。


「今のは。」


「姫ちゃんよね…。」


『え~、やり直し~?ちゃんとできてたよ~。あ~!マイク入ってるよ~!えっと~『真!とにかくこっちに来なさい!この小学生じゃ話にならないから!』ふぇ~ん…小学生じゃないも~ん!』


・・・・・・。


か、カオスな校内放送だ…。


「か、会長さん。そういう事みたいなんでちょっと行って来ます。」


全員が言葉も無く呆然としてる中、俺は口を開いた。


「あ、はい。ただ行かずとも内線で連絡出来ますよ?」


「内線…ですか?」


なんでそんなもんまで付いてんだ?うちの学校にはそんなもんないぞ。


「ええ。先程の放送はおそらく職員室からですから。」


「真、内線はそこよ。」


桜が指差した方を見ると確かに電話っぽいものがあるな。


「あ、じゃあお借りします。」


えっと…職員室の番号は…あ、あった。


番号を押すと呼び出し音の後に声が聞こえた。


『は~い、もしも~し。』


出たのは姫ちゃんだ。頼むから内線にもしもしで出ないで欲しい。


「あ、桂木です。」


『あ、桂木さ~ん。あのね~『真。私を呼び出すなんて随分偉くなったのね。』


あ、この声の感じはヤバいな。怒ってるぞ。


「ゆ、ゆ~ちゃん。悪いとは思ったけど緊急事態なんだ。」


『あんたの都合なんて私は知らないわよ。覚悟しなさいよ。』


や、ヤバいって!これマジでヤバいって!


俺は受話器を手で抑えて後ろを向いた。


「会長さん、この校内で話が出来る喫煙場所ってあります?」


「それなら応接室ですね。職員室と校長室の間です。」


職員室の隣か。それならまだなんとかなるな。


「ゆ~ちゃん、詳しい話をするからそこの隣の応接室で待っててくれ。」


『はぁ?なんで移動しなきゃ行けないのよ。』


「そこは煙草吸えるらしい。」


『…5、いえ10分以内に来なさいよ。』


それだけ言うと向こうから電話を切った。


「え~、と言う訳ですぐに移動したいんですけど…。」


俺も受話器を戻して後ろを向いてみんなに提案をする。


「すぐにですか?」


「何で?」


「俺の事を知ってる人が来たんです。んですぐに移動しないと俺がヒドい目に遭わされます。」


「ヒドい目ですか?」


疑問たっぷりの表情の会長さん。うん、わからないよな。


「ヒドい目です。多分3日は学校休むくらいの。」


これは最低でもだからな。下手をするとこの学校にいれる期間をずっとベットで過ごす事になるかも知れない。


俺の必死さが伝わったんだろう。会長さんが席を立った。


「それは大変ですね。では今すぐに向かいましょう。」


会長さんがそういうとみんなが席を立った。助かる。これで最悪な状況は免れそうだ。


俺達は生徒会室を出てお嬢様らしく廊下を走る事なく許される限り早足で応接室を目指した。


走りて~!




出来るだけ急いでようやく応接室についた。電話から8分が経過した所だ。なんとか間に合ったぞ。


しかし、応接室のドアが木製装飾付きの両開きってのはどういう事だ?豪華すぎんだろ。


さて…。俺は大きく深呼吸をしてドアを開いた。


ドアを開けてまず目に入ったのは木刀を振り上げてるゆ~ちゃん。…っておい!


「無刀取り!」


俺が両手を上に上ると突如、脇腹に痛みが!


「ぐっ!いってぇぇぇぇ~!」


くっそ~…面から胴に切り返してきやがった。アバラが折れたらどうするんだよ…。


「ま、まこっちゃん…大丈夫?」


「巴、居たならゆ~ちゃんを止めてくれ。」


「ムリムリ!そんな事したら優さんに殺されるよ。」


それは十分にわかってるけどそれでも止めて欲しかった…。


「そもそも俺はなんで殴られたんだ…?」


「来るのが遅いのよ。」


「時間内!時間内!ちゃんと10分以内に来たから!」


「うるさいわね。私を待たせてるだけで極刑よ。」


うわぁ…やっぱり暴君じゃねぇか。


「それ以上に俺が先頭じゃなかったらどうするつもりだったんだよ…。」


「失礼ね。ちゃんと確認してから行ってるわよ。」


おいおい…確認してあの速さかよ…。相変わらず恐ろしいお方だな。


「桂木さん、そちらの方は?」


あ、忘れてた。会長さん達は会った事ないもんな。会った事あるのは桜だけだな。


「えっと俺を殴ったのは桂木 優。俺の担任でなおかつ姉。」


「桂木 優よ。いつも真がお世話になってます。」


ゆ~ちゃん、今更丁寧に挨拶してつくろっても無駄だぞ。


「んで、こっちが幼なじみの天城 巴。…って巴、お前はなんで来たんだ?」


連絡を取ったのはゆ~ちゃんだけだったはずなんだけどな。


「今更?まこっちゃんヒドい。優さんが話してるの聞いて来たの。あ、天城 巴です。よろしくお願いします。」


「正確には聞いてじゃなくて教えられてでしょ。榊原さんから。まったく…、あの子のアレには困ったものね。」


なるほど…。純のいつものヤツで俺がゆ~ちゃんに連絡したのを知ったのか。


「んで、こちらが宝華学園の生徒会長の冬野さん。」


「生徒会長の冬野 聖です。本日はようこそいらっしゃいました。」


会長さんが招いた訳じゃないのに丁寧だよな~。真面目だな~。


「それでこっちが水無月さん。」


「よろしく。」


軽く頭を下げた水無月さん。まあ、いつも通りだな。ここで愛想がよくなったらビビるしな。


「そしてこちらが甲野さん。」


「よろしくお願いします。」


うん。実に丁寧だ。うちの姉にわざわざ頭下げなくていいのに。


「桜は一回会ってるからいいよな。」


「大丈夫よ。もの覚えはいいから。」


「私だって人の名前と顔を覚えるのは得意なのよ。」


知ってるよ。その変わり勉強の内容を全然覚えられないってのも知ってるよ。


「それで?なんで呼ばれたの?」


煙草に火を付けて一口吸ったゆ~ちゃんが俺を見る。…いや、睨む。


「いや~…実は元男ってバレちゃったんだよ。」


「はぁ?アンタ何やってんのよ。ここの生徒に手を出したの?」


「まままままままま、まこっちゃん!そそそそそ、それはダメだよ!」


「出してねえよ!それと巴、落ち着け!」


この人を教師にしたの誰だよ!姫ちゃん以上に不適格だろ!


「ホントに出してないの?」


「出してねえよ!」


「なぁ~んだ。つまらないの。」


「つまる、つまらないの問題じゃないだろ!」


俺はなんで肩で息をしてんだ?それ以上に…この人を呼んだのは正解だったのか?


「まあいいわ。それで、その状況で私をわざわざ呼びつけた理由は?」


「ああ。写真の人物と俺が同一人物だって証言してほしくて。」


そう、これが本来の用件なんだよ。


「写真?どれよ、見せてみなさい。」


「はい。こちらです。」


会長さんは机の上にさっきの写真を置いた。


「真と赤井君ね。」


「まこっちゃんと馬鹿嵐だ。」


見た瞬間にゆ~ちゃんと巴は反応した。


「しかし珍しい写真ね。二人がちゃんと写ってるなんて。」


「そうですね。だいたいいつもまこっちゃんの所に嵐が強引にフレームインしてますからね。」


そうなんだよ。あいつは目立つのが好きだから隙あらば入ってくるんだよな。


「これが真だって証明するために私は呼ばれたの?」


「Yes.My sirter.」


ぐぉぉぉぉぉぉ…


頭蓋が軋む…指がめり込む…。た、頼むから静かにアイアンクローを極めないでくれ…。しかもこんな事しながら平然と煙草を吸わないでくれ…。


「証明すればいいの?」


「は、はい。そうでございます、お姉さま…。」


か、解放された…。大丈夫か、俺。穴は空いてないか?うん、穴は空いてないし血もでてないな…。


「それにしても証明ねぇ…。どうしたものやら…。」


そこは確かに難問だろうな…。


「えっと、桂木先生は真が女に変わってどう思いました?」


「たしか、最初に見たのは家の中だったわね。私の記憶ではジャーマンで投げた気がするわ。」


「「「何故!?」」


おぉ~。全員がキレイにハモった。それだけ聞いてれば疑問しか浮かばないよな。


「あれ?でもまこっちゃんあの日の朝は怪我とかしてなかったよね?」


「ああ。舞がクッションになったからな。」


あいつもよく無事だったもんだな。


「舞ちゃんが身をていしてかばったって事。」


「んにゃ、ゆ~ちゃんが扉蹴りやぶってそれに舞が巻き込まれてピクピクしてた上に投げられた。」


「うわぁ…。」


その可哀想って目を俺に向けるな。悪いのはゆ~ちゃんなんだから。


「まあ、とりあえずどうやって証明したらいいか判らないけどコレは私の弟で桂木家の長男、現在は次女になった真よ。」


「それは違うだろ!俺は戸籍まで変えた覚えは無いぞ!」


「あれ?そうだっけ?確か父さんが…。」


あの馬鹿親父…。シメてやる…。


「よし、取りあえず殺りに行こう。馬鹿親父は今どこにいる。」


「知らないわよ。またどっか違う国に行ってんじゃないの?」


チッ…。帰って来たらボッコボコにしてやる。クックック…


「真、怖いわよ…。」


おっと思わず顔に出ちまったか。


「まあ、医学的な証明が欲しいならDNA鑑定のを知らせる?当てはあるし。」


ゆ~ちゃんの言う当てってのは純なんだろうな。普通なら有り得ないけど純なら持ってそうだらなぁ…。


「いえ、そこまでして頂かなくても大丈夫です。桂木先生が嘘をおっしゃってるとは思えませんので。」


「ありがと。それで今後は真はどうするの?」


「私としてはこの後も期間中は引き続き通って頂きたいと思ってます。」


へぇ…それは予想外だな。てっきりあっちに帰れって言われると思ってた。


「それには他の方々にも許可を頂かなければなりませんが…。」


桜、一文字さん、甲野さんを順に見る会長さん。


「私は構わないわよ。こんな面白い子を帰すの惜しいしね。」


「私も。」


「私もです。もっと桂木さんと話をしたいですから。」


おお~。満場一致だ。いや~嬉しい限りだ。


「了解、了解。あなた達がそれでいいなら期間中、真の事をお願いするわね。」


「まこっちゃん。頑張ってね。」


まあ取りあえずはこれで丸く収まったのかな?最初は不安だったけどゆ~ちゃんを呼んでよかったな。


「さて、無事に解決したし帰りますか。もう結構いい時間だしな。」


空はうっすら暗くなって来てる。もう帰らないとヤバイだろう。


「そうね。真、この借りは必ず返してもらうわよ。」


「ゆ~ちゃん、そういう事は儲けの何割かを渡してから言ってくれ。それでチャラだろ?」


嵐から写真を売ってるのは聞いてんだ。チャラどころか金貰わないと割に合わないんだ。


「…知ってたの?しょうがないわね。チャラにしてあげるわよ。」


「望みとしては売らないでほしいんだけど…。」


「それは無理よ。いい稼ぎだし。…あ、あなた達も写真買わない?安くするわよ?」


こら~!ここでも売る気か!


「写真?私は男の頃の真が欲しいな。」


「おっ、いいわね。話のわかり子はお姉さん好きよ。」


さくらぁぁぁ!お前は何を言ってんだ!



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