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視線

結局、4人は固まったまま予鈴が鳴ったからその場はお開きになった。生徒会室をでる時に


「…桂木さん。お昼休みにお時間を頂いてもよろしいですか?」


なんて事を会長さんが言って来た。返事として


「昼休みよりも放課後の方がいいです。その方が時間に追われないし。」


って言ったら会長さんはあっさり納得した様で放課後に再度集まる事になった。


んで今は教室に向かって桜と歩いてんだけど…


「桜。あんまりジロジロ見るな。なんか怖いから。」


隣にいる桜がビームがでそうな目で穴が開きそうなほど見てくる。


「うん。」


了解と取れる返事をするなら見るのを止めろ。


歩きながら俺をガン見する桜。そんでそんな桜を見るために集まってる他の人達。…予鈴はもうなってんだから教室に行けばいいのに。


ってより桜と歩いてるとホント人に囲まれるよな。しかもヒソヒソと小声で話してるし。俺をチラチラみながら…


多分『桜にまとわりつく虫』みたいな感じに思われてんだろうな。まったく困ったもんだ。


「あ、桜。前…。」


「うん。…み゛っ!」


「壁が…って遅かったか。」


華麗に壁にぶつかった桜。ほら、言わんこっちゃない。ちょっと前を見て歩かないからだ。


「ほら、大丈夫か?」


俺が手を出すと桜はそれを握って立ち上がった。


「ボ~っとしてると危ないぞ。」


「わかってるけど…。頭がこんがらがってるのよ。」


まあ無理もないだろう。俺でも混乱するような事態だからな。


「詳しくは放課後な。とりあえず教室に入るぞ。」


「もう教室の前だったんだ…。」


やっぱり気付いてなかったのか。まあボ~っとしてたから無理もないわな。


「あ、真に桜。ごきげんよ…。」


教室に入ると椿がいた。しかも挨拶の途中で固まった。


「真?頭いかがなされたの?」


椿は頭に巻いてる包帯に目がいったみたいだ。ただこの発言は聞きようによっては『頭がバカになってる。』みたいな感じに聞こえるな。


「いえ、昨日転んでしまいまして…。」


さすがに教室でいつもみたいに話す訳にはいかないからな。背筋に冷たいものを感じるような話し方にしないとな。


「転びましたの?真っぽくない失敗ですわね。」


「自分でもそう思います。今後は気をつけますわ」。


「そうした方がいいわね。」


椿は特に疑ってないみたいだな。単純なのか純真なのか…。


「あ、そろそろ時間ですわね。それではまた後で。」


ドリルに…椿に言われて時計を見ると確かにそろそろ先生がくる時間だな。


「桜。私達も席につきましょう。」


「あ、そうね。」


さっきから俺の事を上から下まで見てる桜に声をかける。


ってかそんな見ないでもらいたいな。あんたの取り巻きからの視線が非常に辛いから。


なんて考えてるうちに本鈴が鳴る。


ヤバイヤバイ。取りあえず座って置かないとな。


俺と桜が椅子に座るのと同時に


「みんな~。ごっきげんよ~。」


底無し脳天気な声を上げながら小学生が教室に入ってきた。


『ごきげんよう。』


教室の生徒達がその挨拶にたいして返事をする。もちろん俺は返してないけど。


「あっれ~?桂木さん?頭にほ~たい巻いてど~したの~?」


「あ、ちょっと転んでしまって…。」


「転んだの~?桂木さんもドジだね~。もっとしっかりしないとダメだよ~?」


ぐはぁ!ま、まさか姫ちゃんにそんな注意を受けるなんて…。く、屈辱だ。


「今日は~連絡することないから~次の授業の準備して待っててね~。」


姫ちゃんはそういい残すと入って来たドアに向かい歩き出して…


転んだ。


・・・・・・。


全員の視線が姫ちゃんに注がれる。今さっき転んだって言った人間を注意したばかりだから無理もないだろう。


こんな人にドジだと言われた俺はどうしたらいいんだろうか?


「…ひっく…。」


あ、こりゃあ泣くか?


誰もが姫ちゃんの動向に注意してるなか姫ちゃんが立ち上がった。


そして姫ちゃんはいきなり走り出して教室から出て行った。


教室の全員の視線が閉じられたらドアに集中したのは言うまでもないだろう。


そしてドアの向こうから泣き声と走る音が聞こえたのは気のせいじゃないんだろうな…



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