表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/46

虎の衣を借る



すごい間隔が開いてしまい申し訳ありません



そんなこんなで俺の前には『自称』金色夜叉がいる。見れば見るだけこれが金色夜叉を語ってるって思うと落ち込みそうだ。


奴らの仲間は一文字さんを見張りながら俺達から距離を置いてる。


「姉ちゃん、顔は殴らないでやるよ。後で楽しむ時冷めるからな。」


「そりゃどうも。」


うん、予想を裏切らない下衆野郎だな。


「さて、さっさと終わらせてあっちの兄ちゃんを眠らせて楽しませてもらうかな。」


なんかニヤニヤ笑って変な事言ってんだけど…。気持ち悪さ全開だな。これなら嵐の方が紙一重でマシだな。


「紙一重かよ!」


ウルサいぞ嵐。人の考えを読んでまで絡んで来るな。お前は『黒鬼』の相手をしてなさい。


「まあ、彼氏にたくさん見せ付けてやるからよ。俺達人数も多いし。」


………………。


こいつ今なんか変な事を口走らなかったか?いや、まさかな?


「おい、今なんて言った?」


「ん?忘れたよ。まあ、彼氏より楽しませてやるよ。」


なんてこった…。やっぱり聞き間違いじゃなかったんかよ…。


「誰が嵐の彼女だ!俺に失礼だ!謝罪を要求するぞ!」


ふざけんじゃ無えぞ!無礼にもほどがあるだろ!


「なんだ?彼氏じゃ無いのかよ?」


「違えよ!あいつは相棒だよ。それと『彼氏』の語尾を一々上げるな!うぜえ!」


俺は足元にあった空き缶をつかみ嵐に向かって投げた。


「あぶっ!何すんだ真!」


「そのまんざらじゃ無いような余裕そうなニヤケ顔がイラついたんだよ。悪気は無い。」


「悪気しか無いだろ!」


そりゃ勿論。今はかわされて若干ムカついてるけどな。


「だいたいお前は俺がそういう趣味ないの知ってんだろ!」


「まあな。そうなったら優さんになにされるかわからないしな。」


全くだ。彼氏が出来たとか言ったらめちゃくちゃ冷たい目で見てゴミを扱うような感じで扱われる事が確実だ。


「こるぁ!何二人で話してやがんだよ!」


あぁ、そう言えば嵐にムカついててすっかり忘れてたわ。


「そもそもはアンタがあの馬鹿嵐を俺の彼氏とか言うから悪いだよ。」


「なんだぁ?俺のせいだって言うのかよ!」


「そうだよ。罰として一文字さんは返してもらうから。」


うん。これでどっちも無駄な事をしないで済みそうだな。


「それでわかりましたって言う訳ないだろ!」


あ、やっぱり?流れ的にイケるかなって思ったんだけどな~。


「って言うか怒り過ぎだ。ロクな物食べてないんだろうけどカルシウムはしっかり取れよ。」


「うるせぇ!てめぇにとやかく言われる事じゃねぇだろ!」


うん、至極ごもっともだ。アンタの心配をしてやる義理も何もないな。


「でもカルシウムないとあっさり折れちまうぜ?」


「はっ!お嬢ちゃんの力で折れるなら折ってみりゃいいだろ?俺は金色夜叉だぞ?」


自称だろ、自称。ってかいちいちその名前を出すな。気分的に凹むから。


「じゃあ試してみるか。折れるかどうか。」


そろそろ真面目にやっとかないと一文字さんが不安がりそう…、いや、それは無いか?表情読めないし。


まあ、こんな澱んだ空気の所から早くおさらばしたいし。


「嵐、そっちは任せたからな。」


「あいよ。任された。真こそヘマすんじゃねえぞ。」


どアホ。誰にもの言ってやがる。


「さて、楽しみだなぁ。強がってるお嬢ちゃんが屈辱を味わうのが見れんだからな。」


うわぁ~、メッチャ嫌な笑い方してるよ。気持ち悪っ!


「やってみな!」


俺は距離を詰めて『自称』金色夜叉の懐に潜り込んだ。


「らぁっ!」


潜り込んだスピードを使って右の掌底腹に打つ。


「ぐぅっ…。」


うん、いい手応えだ。そして脇腹に左右のフックを入れてバックステップで下がる。


「なんだ、随分鈍いな。少しは動けよ。」


打った感じではなかなかいい手応えだった。


「こ、このアマ…。」


「流石にこれくらいじゃ折れないな。まあ、あんた肉が厚そうだしな。」


「うるせぇ!」


叫びながら『自称』金色夜叉が突っ込んで来たけど…なんかドタドタって感じだ。しかも大振りのパンチだ。こんなの避けてくれって言ってるもんだ。


俺は体を横に向けて大振りのパンチをかわす。『自称』金色夜叉は避けられてフラつきながら俺の方を向いてさらに右、左、右とパンチを打ってきた。


「このっ!避けるんじゃねえ!」


無茶を言う奴だ。当たらないのは避けられる位アンタのパンチが遅いからなのに何故か俺のせいにしてるし。


「避けられたくないならもっと早く打てよ。」


更に数回殴って来たけどそれを避けて流して捌いた。


「やっぱり一人じゃ何も出来ない連中だったのか。」


「黙れ!俺は金色夜叉なんだ!」


はいはい、わかったわかった…。


「自称だろ、自称。所詮アンタは虎の衣を借る狐なんだよ。」


ブンブン振り回すようなパンチの一つに合わせるようにしてヤツの顎に掌底のフックを入れる。


「じゃあな。偽者さん。」


相手の動きが止まった所で体を半回転させて腹にソバットをぶち込む。


「ぐげぇ…。」


腹を押さえながら膝をつく男。俺はまた半回転して相手の顔面にソバットを入れる。


それをくらった『自称』金色夜叉は蹴られた勢いで床に後頭部を打って動かなくなった。


まあ、ピクピクしてるから生きてるだろう。

「リーダー!」

「ボスッ!」

「親方ーッ!」

「頭ぁーッ!」


呼び方くらい統一しておけよ。見事にバラバラじゃねえか…。


「LRだ~!」


そんな事考えてたら向こうから声が聞こえてきた。その後に何かを叩きつける音がした。


「嵐、わざわざフィニッシュをアピールしてんじゃねえよ。」


「いいだろ。ギャラリーがいるんだし。」


このギャラリーは99%がアウェイだって事は理解してんだろうな。


「んで、それは生きてんのか?ラストライドなんか決めてさ。」


「大丈夫だろ?なんかピクピクしてるし。」


なら生きてるな。こっちと同じ状況だし。さて、波乱も起きずに終わったし一文字さんを連れていくかな。


「ちょっと待つんだな~。」


あん?なんだ?


「女を連れていくんなら俺に勝ってからにするんだな~。」



ギャラリーの向こうから声が聞こえたかと思うと人垣が割れて一人の男が出てきた。


「そこの女~。俺と勝負なんだな~。」


現れたのは縦にも横にもデカい男。頭はスキンヘッド。


「なあ、嵐。俺こんな人を見た事あんだけどさ?」


「奇遇だな。俺も見たことあるぞ。」


うん。こいつはある人物にソックリなんだ。


「「ハー〇様だ!」」


こいつは間違いないぞ!某世紀末救世主に出てきたお方がなんでこんな所に!


「女~。お前の攻撃は俺には通用しないんだな~。」


いやいや、そんなお腹をポンポン叩きながら言うな。〇ート様と同じで脂肪があるから通じないっていいたいのか?


「なあ、俺が相手なのか?」


「そうなんだろ?直々にご指名だし。」


え~~~~~!なんかベトベトしてそうだから触りたくないんだけどさ~。


「女~。かかってくるんだな~。」


……。なんか余裕そうに笑われてるってのもムカつくな。


「わかった。俺を指名したことを後悔させてやるよ。」


デカいのを相手にするときの基本は足から崩す。これでしょ、やっぱ。


そういう訳で正面からハ〇ト様の左膝に前蹴りを打ち抜くように入れる。


そうすると結果はどうなるかというと…


「あぁぁぁっ!足がーーーーー!」


はい、本人の体重もあって膝が曲がっちゃ行けない方向に曲がります。そんでもって痛そうにのたうち回ってます。


「よっと!」


そんでトドメとばかりにハードブーツてでトーキックをおもいっきり一撃。


「ぴぎょじゃぁ!」


なんか人間とは思えない悲鳴あげてハー〇様は泡を吹いて沈黙しました。


って訳でしゅ~りょ~。別に脂肪があっても鍛えられない所はあるしな。


「俺の前ではお前はただの脂肪の固まりに過ぎん!」


クルッとハート〇に背を向けると


パチパチパチパチ。


って感じで誰か一人が拍手をしてた。まぁ、誰かって考えられるのは一人しか思いあたらんのだが。


「いいぞ、真。決めゼリフまでバッチリだ。」


ほら。やっぱり嵐だ。そんな拍手を送る嵐の所まで歩いて行く。


「ほら、馬鹿が馬鹿やってると哀れだぞ。帰るぞ。」


「そうだな。もう誰も文句いいそうに無いしな。」


よし、じゃあ一文字さんを連れてっと…。


「って真!馬鹿ってのは…「そいつらを生きて帰すな!」


全員の目が叫んだヤツの方を向く。そんなみんなからの視線を集めたのは…


『自称』金色夜叉の人だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ