入口
「わぉ。いかにもな場所だな。」
「全くだ。」
日が若干沈んで来た頃目的地に着いた。男が言ってたボーリング場だ。郊外にある為周りには他に建物も無い。
「んで、真。ここであってんだろうな。」
「合ってると思うぞ。潰れてるのに車止まってるし。それに、ほら…。」
俺は入口を指差す。そこにはガラの悪いのが二人立っていた。
「見張りか。じゃあ間違い無いな。」
しかし、ホントに寂れてんな。建物は無くて側にあるのは林だけだからな。まぁ林があって助かったけどな。これまで無かったらおちおち近付けやしないよ。
「さて、見張りは2人。とっとと黙らせて救出に行くか。」
「そうだな。ホントは暗くなるまで待ちたいけど待ってたら一文字さんに何されるかわからないし。」
俺は袋からブツを出して腰の所に付けて服で隠す様にした。
「そういえば嵐。今回は救出だけじゃないからな。」
中に入る前に言っておかないとな。重要な事だし。
「今回は救出と殲滅が目的だから。逃がすなよ。そんでやられても助けないからな。」
「殲滅ってまた物騒だな。そこまでする事なのか?」
「まぁ、理由は中で判ると思う。取りあえずはそういう事だから。」
着々と突入の準備を進めながら話をする。髪は縛らないと邪魔そうだったから適当に縛った。暑いしさらに汗をかくだろうからポニテで。
嵐も手にグローブをはめたりして準備してる。グローブって言ってもボクシングみたいのじゃ無くて総合とかで使う指先は出てるヤツな。
「嵐、準備はいいか?」
「いつでも。」
俺と嵐はお互いの顔を見てニヤリと笑う。こうやって2人でなにかするのは久しぶりだからなんか楽しいな。
2人とも右手に石を持って見張りの方を見る。石を持ってる理由はまぁ簡単だ。当たればラッキー。当たらなくても注意を逸らせるから問題無いって事で。
「よし、行くぞ!」
俺と嵐は同時に石を見張りに向かって投げて走りだした。
石は見張りの一人に当たった。2つとも。
「嵐!同じ方を狙ってどうすんだよ!」
「俺じゃねえ!お前が俺の狙ってた方に当てたんだろ!」
「嵐が悪い!」
「真だ!」
言い争いながらも走ってはいる。全く、投げる前にどっちに当てるか話し合うべきだったな。それにしても嵐め。余計な手間増やしやがって。
「なっ!テメェ等!何しやがる!」
ほら、当たらなかった方、元気そうじゃ無いか。嵐の大馬鹿。
「何って殴り込みだよ!嵐、俺はトドメさす。」
「はいよ!」
お互いが左右に散る。見張りはなんかワタワタしてる。この時に携帯とかで連絡されてたらヤバいんだけどパニック起こしてるみたいだ。嵐に突っ込んでる。
俺は石が当たって倒れてる男の所に走りこんでそのままの勢いで頭をシューーーーートォ!
うん、見事なゴールが決まって相手は動かなくなりました。今のシュートの強さはあの日向〇次郎にもヒケを取らない強さだったな。
「おい、真。扉に鍵がかかってるぞ?」
嵐も一瞬で済ませたらしく扉をチェックしてる。って鍵か。探すの面倒だな。
「よし、蹴破る。嵐、やるぞ。」
「おぉ。かますか。」
扉を前にして2、3歩下がる。足元も安定してるしぶち壊せるだろう。見た感じ押して開けるみたいだし。
「行くぞ、嵐。1、2の、3ッ!」
俺の掛け声と同時に嵐が一歩踏み込んでサイドキックを扉にぶちこんだ。
扉は向こう側に向かって勢いよく開いた。どうせなら思いっきり吹き飛ばした方がよかったのに。
……俺か?俺は立ったままだぞ?無駄な労力を使いたくないし。
「って真ぉ!なんでお前はやらない!」
「開いたんだからいいだろ?それよりどうせなら蹴り飛ばせよ。かっこいい所を見せるチャンスだったのに。」
「知るか!それに見てんのお前だけじゃねえかよ!」
それはごもっとも。確かに見せる相手が居ないな。
「そんな事ウジウジ言ってないでいくぞ。」
「ちくしょう。この話は後でじっくり話し合うからな。」
はいはい、3年位したらゆっくり話し合ってやるよ。