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探求心


「真。その人知ってるの?」


「うわっ!」


お前はさっきまでそこで暴れてただろ!急にこっちに来るな!マジでビビるから!しかも顔近いから!


俺と桜の距離は鼻と鼻がぶつかろうという距離。しかもさっきまで暴れてたから若干息が荒い。いやいや、怖いって…


「ま、まぁ。知ってるけど…。」


「そうなの?桂木さん?」


今度は後ろからかよ!こっちも少し息が荒いし!これじゃ下がろうにも下がれないじゃないか!


「まぁ…付き合い長いですから…。」


いや~、それにしても嵐か~。あんな存在が疑われるようなヤツが好きな人がいるなんてな…。


「真。この人の事教えてよ!」


だからにじり寄るな!ただでさえすごい近いんだ!それ以上近付くな!なんか柔らかいの当たってるから!


「そうよ、桂木さん。教えて。」


後ろのアンタも押しつけるな!体重をかけるな!


「教える。教えるから二人共落ち着け!」


この状況じゃ話すにも話せないから!


俺は肩を押して桜を下がらせながそのまま前に出て後ろの楓さんから距離を取る。


「ってかさ、話してって言われても何を話したらいいかわからないんだ。だから知りたい事を聞いてくれ。」


近くにあった椅子(多分靴の試着用)に座って二人を見る。


「じゃあまず質問。」


先に手を上げたのは楓さんだった。俺は手でどうぞって合図を出す。


「桂木さんはその話し方がデフォルトなの?」


話し方?あぁ、言われてみれば素になってたな。


「そうです。気になるなら戻しけど?」


「いや、いいや。その方が私も楽だし。」


そっか。そりゃよかった。わざわざ代えないで済むなら楽でいいや。


「真。そ、その人の名前はなんて言うの?」


「その前に確認。桜が聞いてるのはこの写真に写ってるヤツの事でいいんだよな。」


写真を見せるとコクコクと首を縦に振った。うわぁ~。桜の反応が見てて面白いんだけど。


「OK。こいつの名前は嵐だ。」


うおっ!いきなり手帳を取り出してペンを走らせるだした!


「嵐さんね。名字は?」


「赤井。色の赤に井戸の井な。んで、嵐の何が知りたいんだ?」


嵐の名前をしっかり覚えるように書いた桜が顔を上げる。そっから桜と何故か楓さんの口撃が始まった。


「まず、嵐さんと真の関係は?」

「腐れ縁。」


「嵐くんって何部?」

「帰宅部。」


「嵐さんの成績は?」

「100以内。」

「それは上から?」

「下から。」


ちなみにヤツは放っておくと下から50以内にすらランクインする。まぁ巴もなんだけどな。


「嵐さんの得意な科目って…。」

「成績がいいのは体育だな。」


正確には体育以外はヤバいんだけど…


「そうなんだ。それは私と同じだ。」


なんかスッゲー嬉しそうなんですけど~。


「そういえば…。この写真っていつ撮ったんだ?」


「あぁ、それは私が撮ったのよ。空手の関東大会だったわね。桜の応援に言った時にね。」


関東大会ってと…あぁ、俺が空手部にレンタルされた時に嵐と巴が見に来た時か。あんときは俺は男だったんだよな。……まぁあんまり思い出さないようにしよう。皆に悪いからな。


「なんで桜の応援に行って他の人の写真を撮ってんの?」


「いや~、桜だけ写してもつまらないじゃない?」


「私だけって結局私の写真一枚も撮らなかったじゃない。」


つまらないって言いきったよ。しかも応援に来てんのに一枚も撮らないってどういう事だよ。


「それは、ほら。その上の大会で撮ればいいかなってね。」


ただ単に忘れてたのか桜を信頼してんのか全然わからない発言だな。


「それにしても桜に勝ったのがこんな子だったなんてね。」


勝った?あぁ組手の話かな?


「あれは組手だったから。試合とは違うよ。」


「何言ってんのよ。大会でもあんな強い人なんて居なかったわよ。」


「桜だって全国行ってるのにね。そんなのに勝つ人っていうから人間離れした野生児みたいな人だと思ってたのに。」


や、野生児?人をなんだと思ってんだ。それにその言い方だとアンタの妹は野生児以外に負けない野生児寄りな人って事になるぞ。


「それは期待に応えられず悪かったな。」


「いやいや、想像とは違ったけどある意味期待以上よ。」


何が期待以上だったのかさっぱりわからん。


「そういえば桜。桂木さんが無自覚ってのはホントなの?」


俺が無自覚?なんのことを言ってんだ?


俺は桜を見たんだけど。メッチャ頷いてんですけど!その表情たるや『困ったもんです』見たいな感じだし!


「信じられないなら姉さんから質問してみればいいじゃない。」


「そうね。じゃあ桂木さん。アナタは自分の人気をどう思う?」


「人気?そんなのある訳ないだろ?人気があるのは桜とかドリルとかだし。俺はただ珍しいだけだよ。」


ってこれはまぎれも無く正当な評価だろ!二人して呆れた様なため息をつくんじゃねえ!


「これは中々…。」


「言った通りでしょ?」


「えぇ…。」


桜が楓さんになんて俺の話をしてるのかとても気になる所だな。


「俺の話はいいだろ。それより嵐の事はもう聞かないでいいのか?」


「そうよ。聞きたい事はいっぱいあるのよ。」


これが恋する乙女ってヤツか?目がスッゲーキラキラしてる。


「嵐さんって身長はいくつ?」

「確か180はあるって言ってたな。」


ムカつく事にアイツは俺より高いんだよな。


「嵐さんの好きな物は?」


これは正直に答えていいのかな?正直に答えるなら『女』なんだけど…。乙女ドリームを壊したら可哀想だよな。


「よく食ってるのはカツカレーだな。」


これも正確に言うなら『カツを食われた』カツカレーだな。カツを食ってるのは俺等なんだけど。


「じゃあ嫌いなものは?」

「さぁ?食い物に関しては無かったと思ったな。」


メモにペンを走らせながらガンガン質問してくる桜にひたすら答える俺。


個人情報?嵐に関してはそんなもん無いから気にしない方向で。


ちなみにこの乙女の質問ラッシュは1時間止まらなかった。


…喉が乾きました。

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