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買い物

さて、俺は今駅前に来てます。昼飯も食べて時間は1時。いや~、冗談で言ったのにまさかホントに桜がおごってくれるとは。


因みに食べたのはお蕎麦とカツ丼だから。さすがに昼に満漢全席は無理だ。


「んで、桜。どっかいい所知ってんのか?」


なにやら財布の中身を眺めてる桜に声をかける。そんなに眺めたって中身は増えないからな。


「あ、そうね。真がどんなお店を知りたいかにもよるけど。」


俺の知りたい店か…。ぶっちゃけコレ!ってのはないんだよな…。


「桜が普段行く所を教えてくれよ。何があるのかもわからないしさ。」


「わかったわ。じゃあ行きましょう。」


財布を鞄にしまった桜は俺を先導するように歩き出した。俺はその桜の横に並び付いていく。




「まずはここよ。」


そう言って桜が足を止めたのは……武具店。…おい。


「これは予想外と言うか…それとも桜なんだし予想通りと言うか…。」


「なにブツブツ言ってるのよ。ほら、入るわよ。」


俺の手を強引に引いて店内に入って行く桜。まぁ…いいか。こういうの嫌いじゃないしな。俺は手を引かれながら店内に入っていく。


「いらっしゃい…って桜か。」


入ると店員さんが来店の挨拶で向かえてくれる。そして奥から姿を現した。


こういう店で女の店員さんも珍しい。歳は20代の半ば位ってとこか?一番に目につくのは…くわえ煙草だな。


接客しながら煙草ってのはどうなんだろうか?桜が気にしてないって事はいつもの事なんだろうな。


「なんだはないでしょ。一応はお客なんだから。」


その意見は至極ごもっともだな。


「そっちの子は立派なお客様なんだけどね。随分綺麗な子ね。やっぱ桜の取り巻きの子なの?」


取り巻き?俺が?桜の?まっさか~。


「違うわよ。この子は私の友達よ。ほら、名前くらい自分でいいなさい。」


肘で脇腹をつつかれる。…いや、脇腹に肘をねじこまれる。音がツンツンじゃなくてドスドスだし。微妙に痛いんだけど…


「はじめまして。桂木 真と言います。」


一応校外でもお嬢様っぽくしておくか。誰が見てるかわからないし。


「桂木 真?ああ、桜が話してたのはこの子の事なんだ。」


納得したような表情でウンウン頷く店員さん。その時、煙草の灰が落ちたのを俺は見逃さなかったぞ。


「桜がいつも世話になってるわね。私は水無月 楓よ。」


へ~。水無月 楓さんか。…ほへ?水無月って?


俺はチラッと隣の桜を見る。


「真の考え通りよ。私達は姉妹なのよ。」


「そういう事。いつも妹が世話になってるわね。」




言われてみりゃ確かに目元とかそっくりだな。うん、なんか納得した。


「いや~、名前を言われるまで桜がそっちに目覚めたのかと思ったわ。」


そっち?そっちってのはどっちの事だ?


「そんな訳ないでしょ!」


「いや、あの子に取られたからそっちに走ったのかなって。あれはどっちも進展無しなの?」


楓さんがイヒヒって笑いながら桜をつつく。うん、こういうリアクションはそっくりだな。


「そ、そんなのどうでもいいでしょ!」


「酷いわね~。写真をあげたの私なのに。あ、桂木さんも見る?」


そういいながら楓さんはレジの所に行ってなんか持って来た。話の流れからして写真なんだろうな。


「ちょっと!何してんのよ!」


桜がこの前の手合わせみたいに…手合わせの時よりも早い連打で写真を奪いに行く。


一方の楓さんはその連打から写真を庇うように弾いてる。なかなかレベルの高い攻防だ。あの速さだと俺も迎撃は出来ないだろうな。


そんなのをしていると段々と桜の動きが変わってきた。狙いが写真から顔をとか腹とかになってきてる。


「面倒ね。黙らせてから写真奪うわ!」


「いい度胸ね。やれるものならやってみなさい。」


お~い。ここは店内だぞ~。商品散らかるぞ~。


そんな心配を俺はしてたけど二人は商品の棚には一切触れずに前後に移動しながらやりあってる。


ちなみにこの状況。俺は完全にハブられてるんだよね。これなら一人でブラブラしてても変わらなかったんじゃないか?むしろこんな姉妹喧嘩とかに逢わないで済む分だけましだったんじゃ…


今や店内はさっきまで聞こえていたBGMの代わりにガッとかバシッとかそんな鈍い音とキュッとかズザッみたいな足音しか聞こえない。


あ、あとは二人の会話が聞こえるくらいかな?


まぁぶっちゃけるならすることも無くて、てもちぶたさだ。商品を見ようにも巻き込まれるのは嫌だから二人に近付きたくないし。


「いい加減に沈んで!」


「拒否するわ。」


二人は俺の事は忘れて白熱してるし。そんだけ暴れながら商品に当たらないのは尊敬しそうだよ。本来は暴れないほうがいいんだろうけど。


「あっ。」


そんな声が楓さんから聞こえた。それに気付いて俺はそっちを見る。


すると何かがこっちに飛んできた。小さな紙みたいなもの。…写真だ。


それは俺の足元に滑るように落ちた。当然俺の視界に入る写真。


写真に写ってた人に見覚えがある気がしてしゃがんで写真を手に取って確認して…


「ブッ!」


写真に写ってたのはよく知ってるヤツだった。写真にでかでかと写り、しかもピースをしてるのは…


「嵐かよ…。」



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