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外出前

今日は休日だ。ホントはゴロゴロしてたいんだけどさすがに少しは周りに何があるか知っておかないとな…。取りあえずブラブラするか。


って考えたから休みにワザワザ目覚ましをかけて起きた。ここで二度寝をしたいところだけどそうすっと昼まで寝るだろう。


俺は気合いを入れて体を起こしてベッドから出る。…取りあえず顔を洗うか…。


水で顔を洗って眠気を飛ばして顔を拭きながら冷蔵庫からミネラルウォーターをとりだして冷蔵庫の上に積まれてるブロック型の簡易栄養食を取って一つを口にくわえる。ちなみにこれは黄色い箱でお馴染みのCMだ。味はチョコレート。


その一つを咀嚼して水を飲む。もう一つを口にくわえながら着替えを始める。着てく服は…適当でいいか。


よし、んじゃ出掛けますか。


自室に鍵をかけて玄関に行って靴を履き替える。


いや~、ズボンを履くのも久しぶりだな。やっぱ楽でいいな~。


そんな事をしみじみ思いながら寮から出た。


「あ、真じゃない。」


「んあ?」


誰かに呼ばれたのでキョロキョロとあたりを見る。そしたら桜がいた。


「なんだ、桜か。なにしてんだ?」


「何ってトレーニングよ。」


トレーニングか。言われてみれば首にタオルかけてるし、汗もかいてるし…見りゃ一発でわかる事聞いてんな。


「朝早くからお疲れさん。偉いな。」


「別に。ただこの前誰かにいいように負かされたからね。」


「へぇへぇ。その誰かさんです。どうもすいませんでしたね。」


かなり卑屈っぽく返事を返す俺。


「別に嫌味とかじゃないから。アンタのお陰で自分がまだまだだってわかったんだし。ある意味感謝してるんだよ。」


ななななななっ!こいつはホントに桜か!くっそ~。なんか輝き過ぎで直視できないぜ。


「何よ…。それより真は何してんの?」


「あぁ、近くに何があるか知りたいからブラブラしに行く。」


「ふぅ~ん、一人で?」


「見りゃわかんだろ?」


どうせこっちで友達少ないですよ!アンタみたいに取り巻きもいないしな。


「じゃあ30分したら行くから部屋で待っててよ。」


「はぁ?来るの?」


こいつはいきなり何を言ってんだ?


「ある程度案内するからさ。」


そりゃぁ確かにナビゲーターがいれば楽だけどさ。


…うん。何を言っても無駄そうだ。この眼は何を言っても聞かなそうだな。


「わかったよ。んじゃ部屋で待ってるから早く来いよ。」


「うん。汗流したらすぐに行くよ。」


桜はタッタッタッと小走りに寮の中に入って行った。


しゃぁない。俺も戻るか…。さっき来たのを逆走して俺は部屋に戻った。


つっても30分か。世のお嬢様方はもう少し時間かかるだろうからな…。まぁ1時間位だろうな…。


およそ1時間をどう潰すか。何かをするには短いし、ボ~ッと待つにはちと長いな。


そんな事を考えながらベッドに横になる俺…。………あ…、なんか……瞼が……落ちて………


スゥ……スゥ…







………んっ…


目を開けると天井が見える。……やべ、寝ちまったか…。時計を見ると1時間半位経ってる。…桜はまだ来てないのか。


「ん~……。」


今の声は俺じゃないぞ。ってちょっと待て!なんで俺のベッドから俺以外の声が聞こえるんだ!?


頭が一気に覚醒していく。頭の覚醒に従い体の感覚もハッキリしてくる。…俺の左側になんかある。

俺は布団を捲ってそのものを確認した。


「ブッ!」


俺は瞬間的に布団を戻した。そういえばベッドの横に『俺のじゃ無い』服があるのが見える。


「おい!起きろ!」


……ちっ!声をかけても何も反応しねえよ!


「起きろって言ってんだよ!」


俺は布団に手を入れて勘でそれに触れる。勘の理由は見てはならないから。


結果これが裏目に出た。俺の手は確かにそれに触れた。触れた部分は異常に柔らかかった。


「んっ…。」


布団の中のそれはビクッと震えた。…起きるか…?


「スゥ…スゥ…。」


起きねえよ!このアマ~~~!…まぁ今ので起きられたら俺が異常に気まずくなるんだけどな…。


取りあえず触る場所を変えよう…。そう考えた俺は手を動かそうとしたんだけど……少し遅かった。


ギュ~~。


「ぬぉっ!」


あろうことか布団の中のそいつは俺の手をロックしてきた。


こんなのは掴まれてない手でロックしている腕を離せばいいんだろうけど残念ながら俺の片腕は布団の中のヤツに枕替わりに使われている。


俺はしょうがなくロックされてる手を抜こうとする。手を少し動かすとその手に伝わるのは柔らかい感触。


これはヤバいぞ!具体的には俺の理性的なものが!狙ってやってんならまだしも寝てる以上無意識だからな。


抜こうとする度に変な声上げるし!マジで!マジで勘弁してくれ!


…よし、この幸せな感覚は無視だ。全力で引き抜く!………おりゃ!


ガンッ!


「くぉぉぉぉぉぉ…。」


ひ、肘っ!肘が!電気が~~~~!


もがく事も出来ず静かに痛みと痺れに悶える俺。肘がシビシビする~。


2、3分悶えると痛みと痺れが治まってきた。くそ~。踏んだり蹴ったりだ。


「おいっ!いい加減に起きやがれ!」


俺は大声をあげつつヤツの頭を叩いた。これは決して肘をぶつけた八つ当たりじゃないからな。


「ん……。ん~~~?。」


ようやく、俺の布団に居たヤツ………桜がうっすら目を開けた。


「あれ………?真………?」


うん、寝ぼけてやがりますな。俺はなんとなくムカついてもう一発叩く。


「いたっ!何するのよ。」


「いいからとにかくどけ。腕がもう限界だ。」


非難の籠った眼で文句を言う桜を一蹴する。俺の左腕は血が止まり過ぎて限界を越えていた。


「覚えてなさいよ。」


桜は小声で呟きながら上半身を起こそうとした。


「待った!取りあえず頭を腕から退かすだけでいい!布団からは今はでるな!」


見覚えの無い服が落ちてる。そして一瞬とはいえ見てしまった桜の格好。今こいつが起き上がったらヤバい。


桜は俺の声に大人しく従って俺の腕から頭を退かす。うぉぉぉぉぉ…。血が巡って痺れがスゲェ事になってやがる。


「ん?あぁ…。」


ツン。


「Nooooooooooooo~!」


ツン。じゃねえよ!このアマ!脳みそ解剖するぞ!


予想以上の大ダメージの左腕を庇いながら、そして極力布団を捲らないように俺は起き上がって桜に背を向ける。


「桜。話は後だ。先ずは着替えろ。」


「別にそれはいいけど…。どうして後ろ向くの?見られても気にしないけど。」


お前は気にしなくても俺は気にするんだよ!俺は年頃の男の子なんだよ!


「いいから着替えろ。さもなくばそのまま廊下に出して大声上げるぞ。」


こんな事言っちゃいるが見れない以上無理なんだけどな。


「それは色々と困る。わかったわよ。着替えるわよ。」


後ろからモゾモゾと動く音がする。そんで着替えてるって感じの音がする。


…決してその光景を想像したりしてないからな…。


「着替えたよ。」


その声を聞いて後ろを向く。フェイントでもなんでも無く桜は落ちてた服を着ていた。ふぅ…一安心だ。


「さて、水無月桜さん。」


「な、何よ改まって…。」


一歩後ろに下がる桜。そんなので遠慮はしないからな。


「なんであんな状況になっていたのかお話頂けますか?」


たしか母さんが言ってたな。話す時は目を見て話なさいって。そんな言葉を思い出したから桜の目を見ながらゆっくりと笑顔で言った。


「いや…真?怖いよ…?」


「そんな事ないですよ。こうやってちゃんと話を聞こうとしてるじゃないですか。もう一度伺います。なんであんな状況になっていたのですか?」


2歩3歩と桜は後ろに下がっていったけどやがて壁にぶつかった。俺は桜が下がった分だけ前に詰めて行く。


「いや…そのね、シャワー浴びて来てノックしても反応がなくてね…それで…ノブ回したら開いてたから…。」


なんか桜の目が左右に動いてるけど…。この寮は防音はしっかりしてるし部屋には他に誰も居ないから助けを求めても無駄だよ?


「開いてたから?」


「開いてたから…その…入って…そんで…真が幸せそうに寝てたから…つい…。」


「それじゃあ服を着てなかったのは?」


「それは私が普段寝るときそういう格好だからで…。」


ふ~ん。じゃあ悪戯でどうこうって訳じゃないんだな。


「わかった。まぁ寝てた俺も悪かったんだしな。」


「そ、そうよ。私が急いで準備して来たのに。」


あ、俺が非を見せたら強気になりやがった。


「そもそも俺は一人で出掛けようとしてたんだけどな。」


「うっ…。」


俺の反論に声を詰まらせる。


「まぁいいや。飯をおごってくれりゃチャラにしてやるよ。」


「それくらいなら…。」


言ったな?言っちゃったな?


「よし、じゃあ昼飯は満漢全席だな。」


「えっ………。」


う~ん。昼が楽しみだ

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