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歓迎会【5】


皆様の率直なご意見お待ちしてます



着替えた俺はホールに向かってる。着替えに関しては凄かったとしか言えない。簡単に説明するとある部分を圧縮してある部分を水増しした。


ホールの前まで来ると御三方が居た。どうやら俺を待ってくれたらしい。俺は3人の所まで行って声をかけた。


「ゆ~ちゃん、随分化けたな。見た目だけならカッコイイ大人だな。」


「麗さんはやっぱり似合いますね。落ち着いた雰囲気だし。」


「巴も綺麗だな。見違えたぞ。」


こういう時は思ったまま誉めるのがいいんだよな。なんか3人して固まってるけど。


「なんだ真か。折角いい男が来たと思ったのに。」


「俺で悪かったな。それと待っててもらって悪かったな。」


3人の間を抜けて扉の前に行く。巴と麗さんは固まったまま俺を見てる。なんだ?どっか変か?


「巴、麗さん。中に入るけど大丈夫か?」


俺が声をかけると二人は正気に戻ってみたいで返事を返してきた。


「うっしゃ、じゃあ行くぞ。」


俺は扉を開けて中に入った。そんで扉を抑えて3人を中に招き入れる。3人が入ったのを確認すると扉を閉めて前を向いた。


俺達が中に入ると話をしていたお嬢様方がこっちを見た。そしてそのまま固まった。それは徐々に広がって行きやがてホール内全体に広がった。


ざわついていたホールが沈黙に包まれる。


なんだ?やっぱ俺の格好がなんか変なのか?そうならハッキリと言って貰いたいもんだ。


「ゆ~ちゃん。とりあえず挨拶からでいいんだろ?」


ゆ~ちゃんに確認を取るとゆ~ちゃんは肯定の返事をした。俺はそれを確認すると人が異常に集まってる所に向かって歩き出した。


「わぉっ。」


俺は思わず感嘆の声をあげて短く口笛を吹いた。これは嫌われてんのか?俺が進もうとしてる所にいた人達が左右に動いて道が開けるんだけどさ。


「なんだっけ、モーゼの樹海だっけ?」


「真、それを言うなら十階よ。樹海じゃ迷うだけでしょ。」


「お二人とも違います。十戒です。」


おぅ!樹海じゃなかったんか!そしてゆ~ちゃん、自信ありげに言いながら違ってるし!


それで十戒の海みたいに人がわかれて行くから楽に歩ける。その効果は目的地の所にいた集団にもあったみたいで人垣が割れた。その先には相も変わらずキュィーーーーンって音がしそうな位のドリルを付けたお嬢様の椿と大量の料理を抱えてる桜がいた。あ~、そういえば少し腹減ったな。


「崎島さんと、そちらは水無月さんですね。本日はお招き頂きありがとうございます。」


ドレスの裾を軽く摘まんでご挨拶をするゆ~ちゃん……って、なにぃ!ゆ~ちゃんが礼儀正しく挨拶してる!


巴と麗さんもゆ~ちゃんと同じ様に礼をする。麗さんは慣れた感じだけど巴はやっぱぎこちないな。


「何よ。」


「い、いや。そんな挨拶が出来るとは思わなかったから。」


「…怒らないから正直に言いなさい。アンタは私をどういう風に思ってるの?」


「…暴君…いってぇ!」


いやいや!怒らないって言ったじゃないか!そんな先の尖ったヒールでさりげなく踏むな!そしてジワジワと体重をかけるな!足が貫通する!穴が空くから!


(巴!ヘルプ!ピンチだ!)


こういう時は奥義のアイコンタクトを!


(ムリムリ!私にはどうしようもないから!)


(そこをなんとか!マジで穴が空く!なんとかゆ~ちゃんの気を逸らしてくれ!)


(やるだけやってみるけど…。)


よし、頼んだぞ巴。ゆ~ちゃんにピンヒールは凶器以外のなにものでもないから!


「ゆ、優さん。この人達は誰なんですか?」


巴が桜と椿を見ながらゆ~ちゃんに尋ねた。その姿は俺にはボヤけて見える。…涙出てきた。


「こちらの方達は真の歓迎会の主催者の崎島さんと生徒会の副会長の水無月さんよ。」


ゆ~ちゃんは巴の方を向く様に態勢を変えた。足の位置も動かしたから俺の足はなんとか穴が空かずにすんだ。ただ最後におもいっきり体重かけて回転したけど…。悲鳴を上げなかった俺を誉めてやりたいぜ。


「そうだったんですか。あ、私は天城 巴です。まこっちゃんの友達かな?」


「ご挨拶が遅くなりました。私は霞ヶ崎学園の生徒会長の八神 麗と申します。」


巴に続いて麗さんも二人に挨拶をする。うん、やっば挨拶は大事だよな。


「ご丁寧にありがとうございますわ。私は崎島 椿と申します。」


「モゴモゴ…。んっ…。…私は水無月 桜。よろしくね。」


桜。口に物を入れたまま喋らなかったのは立派だけどとりあえず皿は置いてくれないか。


「私は桂木 優です。真の姉で霞ヶ崎学園の教師です。」


ゆ~ちゃんはそこで一端切って一息付いてからさらに言葉を続けた。


「今日はうちの『愚弟』の為にホントにありがとうございます。」


誰が愚弟だ!そりゃちょっとヒドイんじゃないかい?


「優さん!」

「桂木先生!」


ほら、二人も言い過ぎだって怒ってくれてるじゃないか。


「「ぐてい?」」


ほら、二人もそんな事無いって聞き返してるじゃないか。ゆ~ちゃん、いくらなんでも愚弟は言い過ぎなんだよ。愚弟…って、おい!弟なんて言ったらダメだろ!こっちの学校じゃ誰にも言ってないんだから!


「あ、ゴメンね。ついいつもの流れで言っちゃった。」


いやいやいや!そんなテヘッみたいなノリで謝らないでくれ!マズイだろ!


「愚弟って言うのは真ってあんな性格だから男みたいでしょ?だからそう言ってるの。」


よっしゃ!ゆ~ちゃん、いいフォローだ!ただ目が若干泳いでたのを俺は見逃してないからな!


「確かに真ってそんな性格してる。」


「えぇ。男性的な感じですわね。」


おっ。二人も納得してくれたみたいだ。全くスゲーヒヤヒヤしたぜ。とんだ爆弾投入しやがるな。


「そういえばその真はどこにいるの?」


桜が巴の方を見て聞いてきた。なんとなく巴に聞いた理由がわかるな。おそらく気を使って喋るのが面倒になったんだろう。ゆ~ちゃんと麗さんは年上だからな。


「それ以上に私は男性が来るとは聞いてませんわ。」


椿が呟いた。…こいつはドリル以外の器官は飾りなのか?ここのどこに男がいるんだ?


俺は周りを見るけど目に入るのは着飾ったお嬢様ばっかりだ。まぁ一部お嬢様じゃない人もいるけど。…誰とは言いません。命が惜しいから。


「何キョロキョロしてまして。アナタの事でしてよ。」


ビシッとドリルで…間違えた。指でさした先に居るのは…俺!?軽く左右に動いても指先は俺の鼻先から動かない。


怒りをうっすら浮かべた椿に指差された俺。何故か桜も指差してる。そんな俺の取った行動は…


「……………ッ。」


顔を伏せて肩を震わせていた。や、ヤバい。非常にヤバい。


「泣いてもわかりませんわ。アナタは何故ここにいらっしゃいますの?」


「そうよ。ここは男は入っちゃいけないのよ。」


もう無理。耐えきれない。限界だ。


俺は片手を前に出して二人に待ったをかける。もう片方は腹を抱える。そんで顔を少し上げてゆ~ちゃんを見る。


(ゆ~ちゃん…。もうムリ…。後頼む。)


ゆ~ちゃんもうっすら涙を浮かべた目で俺を見る。


(私も無理。ヤバいわ。こらえきれない…。)


こんな所でも血が繋がってるのが実感できるな。同じ状況に陥るとは思わなかった。


ちょっとは耐えれたがそれももう限界だった。ゆ~ちゃんも同時に限界を向かえてダムが決壊するかのごとくその感情は溢れ出した。




「「アーッハッハッハッハッハッ!」」


俺とゆ~ちゃん、爆笑。は、腹が痛え…。涙が出てきた。


ゆ~ちゃんも腹を抱えて声も高々に笑ってる。それを見て桜と椿は呆然としてる。まぁ急に笑い出したんだから無理もないだろう。


巴と麗さんも俺達につられるように笑っている。もちろんゆ~ちゃんみたいに大声ではないけど。やっぱり二人も今のは面白かったみたいだ。


「み、皆さん如何なさいましたの?」


「なんで急に笑いだしてるのさ?」


その二人の反応が俺達のツボを更に刺激する。ヤバいって!腹筋がちぎれる!


「二人…共…。本気で…言ってる…の?」


ゆ~ちゃん、息を切れさせてます。どうやらゆ~ちゃんの腹筋もピンチみたいだな。


二人は状況を全く理解出来てないからただ首を上下にカクカク動かしてる。


「「「ハハハハハハッ。」」」


笑い声が一人分追加された。この声は巴だな。どうやら限界を超えたみたいだ。結構頑張ってたけどな。一方の麗さんはまだ堪えてる。背中向けてるからわかりにくいけど肩っていうか上半身がプルプル震えてる。それにプラスして耳が超赤い。


「ほ、ほら。怪しげなの…。…名乗り…なさ…いよ…。」


周りからの注目の視線を浴びてる俺達。そりゃこれだけ爆笑してりゃそうなるか。


「わ、わかった…。ちょっと…待って…。」


まず息を整えないとまともに喋れねぇ…。ス~ハ~ス~ハ~……よしっ!


「桂木 真です。つい最近に霞ヶ崎学園から宝華学園に来ました。」


『えーーーーーっ!』


二人が同時に…いや、周りに居た人達も同時に叫びだした。


『アハハハハハハッ!』


俺達はその叫び声を聞いて再び笑いだす。どうやら麗さんも耐えきれなかったみたいだ。俺達4人は腹を抱えて笑ってる。これが部屋だったら転げ回ってるな。


ホール内には笑い声が響いている。他の人達は俺を見ながら呆然としてる。


因みに笑いは10分位の間響き渡った。


明日は笑い過ぎで腹筋が筋肉痛になるのは確実だ。まぁ切れなかっただけまだ良しとしよう。

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