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●イソルダとアルジェ

「Q、こちらにテンコはいないわ。もう一カ所もハズレ見たい」

 ペティからの通信がQに入ってきた。

「これは閣下に連絡を入れていおいた方がいいな」

 オオミドウがQに言った。あたりを調べたQのチームだがすべてハズレの可能性もある。

「私が戻って応援を呼んできますのでオオミドウさんはしばらく見張っておいてください」

 Qはアジトへ戻っていった。

 敵の兵舎には誰もいない。これはオオミドウが隠れ蓑笠のスキルで潜入して調査済みではあるが何かおかしい。オオミドウは不穏な空気に敏感に反応した。

 そこへシーモフサルト兵三人と黒い外套の男が兵舎に入っていった。

「イソルダ、アルジェ、来たぞあの外套の男はテンコに違いない」

「確かにまがまがしい気を漂わせていますね」

 アルジェが言うと

「あの人数なら私たちだけで何とかなるかも、どうオオミドウ」

 勝気なイソルダのはやる気持ちが伝わった。

「いや、援軍が来るまで待機だ」

 キグナスを目の前で失った彼は慎重になっていた。

 すると突然兵舎の中から悲鳴に似た声が聞こえてきた。

「いくわ!」

 イソルダが飛び出していった。こうなると仕方ないアルジェとオオミドウも続いた。

 兵舎の広間に侵入すると先ほどの兵士が血を流し三人とも倒れている。


「なんだお前たちは、こんなところへどうして入ってきた」

 テンコは杖を構えて言った。

「あんたこそ、そこの兵士に何をした」

「いけにえだ」

 杖を使って兵士たちの血で魔法陣を描いた。

「どうせレジスタンスの者どもだろう。ここで死ぬがよい」

 杖を振るうと死んでいた兵士たちが起き上がってきた。

 オオミドウたちは武器を構えて応戦の構えを取った。

 三人はそれぞれゾンビと対峙した。ゾンビたちの動きは思ったよりも俊敏だった。かなりの手練れをゾンビ化したようだ。しかし三人はわずかにそれを上回っていたが、テンコは呪文で援護をしている。

 テンコの呪文をかわしながらの戦いとなっていた。

「ひひひっこれではどうじゃ」

 テンコの杖が輝くと魔法陣から魔物を憑依させたゼブル教のパラディンたちが次々と這い出してきた。

「いかん、イソルダ、アルジェ、ここを出るぞ」

 オオミドウがしんがりとなり後退の陣形を取りながら出口を目指した。パラディンの数はゆうに三十人を超えていた。それぞれが銃のようなものを持っている。

 その銃を構えてオオミドウに一斉射撃した。

「オオミドウ!」

 イソルダ、アルジェの叫び声もむなしく銃弾を全身に浴びるオオミドウ。

「早く逃げろ!俺が時間を作る」

 オオミドウは羽団扇(うちわ)を取り出し大きく振りかざす。すさまじい竜巻が起こりパラディンたちとゾンビを壁まで吹き飛ばした。

 テンコがいない。気が付くのが遅かった。イソルダ、アルジェの向かった出口に立ちふさがっていた。大きく口を開くと死霊を吐き出した。

 死霊たちがイソルダ、アルジェに巻き付き動きを縛った。

「お前たちは人質じゃひひひっ!」


 その時天上窓から誰か飛び込んでテンコの前に立った。

 オオガミが剣を突き付けていた。


「俺の仲間にこれ以上手を出すんじゃない。二人を放せ!」

 テンコはイソルダ、アルジェを引き寄せ

「これでは手が出せぬであろう」

 じりじりと後ろに下がっていくテンコ、逃げ道を探っているようだ。

「オオガミ!私たちのことは気にせず戦え」

 イソルダが叫ぶ。

「剣をおけ、さもないと」

 鋭くとがった爪を二人に向ける。

「おぬしは不死身じゃったな。バラバラにするとどうなるかなひひひっ」


 入口が蹴破られハルトが現れた。

「ハルト、人質を取られた」

 壁に飛ばされていたパラディン兵たちが立ち上がり銃を構えている。

「機関銃か、またロストテクノロジーを使ったな」

 身動きできないハルトが言った。


 イソルダ、アルジェが向き合って何か合図をした。それを察したハルトが

「やめるんだ二人とも命令だ!」叫んだが・・・・

 舌をかみ切って絶命した。

「何を馬鹿なことをするのじゃこの娘たちは」

 二人を放り出した。


ちはやぶるかみのちぎりしほむろあれ

おほけなしものをしたたむれ


火柱(コロディフィ)


 ハルトの呪文がテンコ以外の敵を燃やし尽くした。


「きさまは俺が殺してやる」

 血走った眼をしたオオガミがテンコに飛びかかる。

 逃げるテンコだが、力尽き倒れていたはずのオオミドウが羽団扇の十一枚の羽根を飛ばしテンコに突き刺した。

 床にはりつけにされたテンコ

「お願いじゃ見逃してくれ。降参する」

「何をたわごとを」

 オオガミが一太刀振るうと右腕が飛んだ。

「頼む命だけは」

 さらにもう一大刀、左腕が飛ぶ。

「あの世で謝るんだな」

 テンコの首が転がった。


「オオミドウ!」

 オオガミが駆け寄る。

「オオガミの旦那、キグナスの敵討ちは任せましたぜ」

 最後の一言だった。ハルトはイソルダ、アルジェのそばにいた。

「ハルト!二人は」

 首を振るだけのハルトであった。

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