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●食事の準備

 ハルトたちは悲しみに暮れていた。特にアオナの落ち込みはひどかった。

「アオナ、残念だった。冥福を祈ろう」

「問題ありません。ハルト閣下、戦場では覚悟いたしておりました。必ず仇は打ちます」

 気丈に振る舞うが明らかに落ち込んでいる。

「ローガン、お前がレッド中隊のリーダだ。この地区の戦いをメリンダ支えてやってくれ」

「はい、閣下、アーカムス隊長の遺志を継いで必ずレジスタンスと共にシーモフサルトを救って見せます」

 ハルトたちはアーカムスの遺体とバルログから取り出した結界の礎となる魔石とその場を去ろうとしていた。

「ハルト閣下、これがあのバルログのスピードの秘密では」

 メリンダがバルログの首を落とした胴体からアンクレットをはずしてハルトに渡した。

 ハルトは鑑定をすると「そうだな。間違いないようだ。アオナ、使うがいい」

 アオナに神速のアンクレットを授けた。

「ありがたく頂戴いたします。このスピードで必ずやテンコを討って見せます」

 アオナが足にはめるとそれに対応するように彼女のサイズにあっていく。

 さあ、帰ろう。


 ハルトはみんなと別れひとり別の方向へ帰っていった。アーカムスの死がなにより堪えた。防げたかもしれない死であった。悩み何時間も辺りをさまよった。そして無性にタマモの顔が見たくなりブヤシ区と足を向けていた。

 ピザ屋に着きドアを開けると明るいタマモの笑い声が聞こえてきた。こらえていた涙がこぼれた。彼女の無事が何事よりも大事に感じたからだ。涙をぬぐい席に向かう。

「あーハルト!ピザ食べたくなった」

 二、三週間ぶりに見るタマモの笑顔で心の中に火がともる。

「あービールとな」

 そして悲しい知らせを皆に伝えた。静けさが訪れた。それを聞き消すように

「アーちゃんに乾杯!!!」

 タマモが明るく元気よく叫んだ。みんなも悲しさを忘れるように乾杯をつづけた。

「ハルト、アオナは大丈夫ですか」

「知っていたのかモモ」

「バレバレですよ。だからアオナが心配で」

「ああ、運命を受け止めたようだ。彼女なら心配ない」

「えっあの二人そんな関係だったの」

 タマモにはまだ恋愛の駆け引きは難しかったか。

「そういうことだ。おまえも恋をするようになると相手のことがよく見えるようになるさ」

「私も恋してるもん!ハルト」

 じっと見つめてくる。

「それは恋じゃないよ。ファザーコンプレックスだ。モモ、機会があればタマモに教えてやってくれ」

「ハルト、今度けっこう大きなフェスすることになったんだ。ハルトはギター弾けないの」

 その昔温泉宿の組合仲間たちで親父バンドを組んでいて、ベースを担当していた。

「俺まで演奏させるつもりか、もう長いこと弾いてないぞ」

「やっぱり弾けるんだ。そうじゃないかなと思ったんだ。私たち見たいメイクして参加しようよ」

 そういう感は鋭いんだな。ちょっとギター小僧魂がうずいたが

「だめだだめだ、そんな目立つことはご免だ」

「ちぇ、楽しいのにな。ハルト明日もここにいるの」

「アオナのところへいって次の作戦の準備だ。忙しくしてやらないとな。ミス・ペティも来てくれ」

 ミス・ペティはもっぱらモモタマのマネジャーとして働いている。

「はい、資料を持ちお供いたします」

 弔いの宴はそのあとも続いた。


 次の日、カクシ区のアオナをペティと共に見舞った。

「アオナ、元気にしてるか」

 占い部屋を尋ねた。

「閣下、大丈夫ですよ。そんなに心配しないでください」

「そうだな。君も戦士だったな。次は忙しくしてもらうぞ。ミス・ペティ説明だ」

「はい、閣下。このカクシ区の冥界クインテットは食屍鬼(グーラ)のガスタです。テンコの部下でもあり、精神系の妖術を得意としております」

「テンコの部下か、あいつがまたしゃしゃり出てくる可能性は捨てきれないな」

「それは問題ないかもしれません。砦の兵士たちの心を読む限り、彼女が冥界クインテットに昇格してからは仲たがいをしているようです」

 アオナが占いで仕入れた情報である。

「やはり定期的に巡回しておりますがその目的は領民の拉致、自分の食糧、一日一人ないし二人を食していますがその選別が目的です」

「長く生かしておくべきでないやつだな」

 作戦はその拉致されることにある。砦の内側からガストを倒す。

「まずは美味しそうになることだ。ミス・ペティそこをよく調べてくれ」


 食材たちの逆襲だ。

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