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▽映画鑑賞会

 タマモは喜多屋とタウロのやりとりを聞き厨房へ向かい餃子作りの手伝いに向かって行った。空いた席に輝也が座ると

「さっき言っていたイドの怪物ってどんな存在だ?」

 天鼓は

「イドとは心理学用語で潜在意識の中の本能的な欲求のことなんだ」

 晴人が付け加える

「昔あった禁断の惑星という映画の話だよ。宇宙移民のはじまった時代の物語で移民団の謎の死亡を調査する博士がその惑星の先住民の作った防衛システムの謎を解き明かすと言ったストーリーだ。晴明、うちにビデオあっただろ。見ていないのか。ほらロービーというロボットが出てくる古典だよ」

「あゝあれか!たしか侵略者の恐れているものを具現化できるシステムだよね。それがベルゼブブにも当てはめて考えるんだね」

「ふむ興味深い、データベースから映画を検索して検証しましょう」

「天鼓、見れるの禁断の惑星。私も一緒に見るよ」

「カミーラにダウロードするから一緒にみよう」

 天鼓と晴明は上陸用舟艇(しゅうてい)カミーラに向かっていった。それを見た晴人は

「なんだかんだ言ってまだ二人とも子供だな。輝也くんあとで点心を持って行ってくれないか」

「わかりました。私も少し興味があるので急いで向かいます」

 テーブルにある食べ物と飲み物をワゴンに乗せると二人を追いかけて行った。晴人は槌熊とヤーシャがいるテーブルへと向かった。


「晴人の旦那、あの二人の仲直りはうまく行っているか」

 槌熊は大きなグラスに紹興酒を並々と注いで飲んでいた。

「ジローくんが(かすがい)となったようだな。最大の功労者はジローだよ」

「あの子も不思議な存在だよな。最初は頼りなさげな子だったんだがいつの間にかリーダーとしての資質を開花させたな。晴人とはまた違ったまとめ方だけどな」

「あの子の能力に最初に気がついたのは晴明だ。そしてうまく導いてやっていると思う。問題はひなただ。誰にも真似できない資質があるんだがどうすれば育っていくんだろうな」

「あの嬢ちゃんに足りないところはどこだ?ヤーシャよ、分かるか」

「さあな。私とは正反対の存在だ。何もいうことはない・・・いやそうか。ダークサイドに触れさせてみようか」

「ま、待ってくれそれは父親として賛成しかねる。別の方法を探ろう」

「甘い父親だな。俺はいいと思うぜそんなことでダメになるタマじゃないぞ。娘を信じてやれよ」

 晴人は酒をグイと煽った。

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