▽ジローも働く
「調理を手伝わせてもらえないでしょうか」
アカネとアオイが頭を下げ声を揃えてタウロに願い出た。
「坊ちゃん、ええだすか?おらも一緒に働いてみたいだ」
タウロは娘たちともちろん一緒に過ごす時間が欲しいのだろう。それは言わずとも十分わかっている晴明は
「もちろんだよ。彼女たちに教えてあげればいいよ。タウロ流を」
「んだば、厳しくいくだすよ」
「はい!お願いします」
アカネとアオイは自分たちの道具を取り出しタウロの指示に従っていった。喜多屋は一人取り残されて暇をお手余して晴明に
「ねえ満漢全席ってどんな料理なんですか?」
「本来は豪華な中国宮廷料理なんだけどタウロのことだから町中華オンパレードにするつもりだと思うよ」
「食べたいって思ってたところだよ、餃子は絶対に」
「タウロの作る餃子はうまいぞ。私もお腹減ってきたよ。そうだ!タウロ、沙拉生魚片も頼むよ」
「わかったてるだすよ、ちゃんと考えているだすよ」
「なんですそれ?」
「鯛の刺身にサラダだよ。ジローくん、それより演奏で応援してやれよ」
「そうですね」
ヴァイオリンを奏で始めた。そして晴明はメインデッキへと向かっていった。




