☆時のメロディ
「わかったが元の時代にいつ戻れるんだ。それ次第だ」
ヤーシャは腕時計を見ながらテュールに尋ねた。
「45分もすれば元の時代に自動的に元の時代の時の祭壇に戻ります。伸びたゴムが戻るようにそれまでにレヴィアタン停止を手伝ってもらえないか、この船には私一人しか残っていないのでな」
「どういうことかな全く何も、見えてこないのだがな」
ヤーシャはテュールに説明を求めると
「失礼した。我々は戦いに負けた。敵はなんとか封印したがヴィシュヌ様は深く眠りにつかれた。魔王軍は魔界へと引き返す」
「神々との戦いのことだな。まさかそれが終わったところに来たのか」
タイムワープの時系列を知ったヤーシャはこれから持ち帰るデータが天鼓に有益な情報であることに喜んでいた。
「この船は今どこにいるんですか」
喜多屋は船が動いていないことに気がつき今の状況を確認した。
「大陸の地下深くに眠るつもりでいる。手分けして戸締まりを確認してくれ」
デッキのモニターには確認場所が映し出されていた。
「僕たちだけで問題ないと思いますからヤーシャさんとひなたのママはここで待っていてください」
と喜多屋は言うとひなた、アカネ、アオイとともに艦内に散らばっていった。
二人残ったタマモとヤーシャは
「ねえあなた、オオガミと何かあった?」
ヤーシャはタマモから目を逸らし
「なぜそんなことを聞く」
「いや別に何でもないわ。少し言ってみただけ。おわり!」
少し笑みを浮かべたタマモはモニターを見た。
「終わりました!テュールさん」
子供達は戻ってくると元気に報告をした。
「ありがとうございます。あと十分ほどでお別れですね」
「テュールさんに演奏をプレゼントします聞いてください」
喜多屋はヴァイオリンを構えると従魔使いの輪舞曲を披露するとテュールは目を瞑り静かにたたづんだ。
やがて演奏する喜多屋の姿はかき消すように消えていた。




