▽輪舞曲
「わからない、でも僕を呼んでいる。そうだひなた操縦を変わってホバリングしてくれる」
ヘルメットを脱いでひなたに放り投げて喜多屋は外に出るハッチへと向かった。
「危ないですわヤジロウさん」
外に出ようとする喜多屋を見てアオイが叫ぶがお構いなしにヴァイオリンを持ち出して演奏を始めてしまった。その音楽は船内にも響き渡った。
「アオイ、これって世界樹の山の地下に潜った時にリリさんに聞かせたオリジナル」
「従魔使いの輪舞曲ですわ」
喜多屋が奏でたのは、リリのために作った彼のオリジナルで異なる旋律を挟みながら、同じ旋律を何度も繰り返す形式のメロディーで構成された曲だ。
船のレーダーが接近する物体を捉えた。
「なにこれ!」
ひなたが叫ぶのも無理がない映し出された姿はとてつもなく大きな物体であった。
「ヤーシャさんわかりますか」
映し出されたのは全長500メートル全幅は100メートルはあろうかの大きさだ。
「いや私も初めてみる。こんな大きな飛行物体は」
ヤーシャも慌てていた。そんな混乱の最中、天鼓からの通信を傍受する
「ヤーシャのパキラか」
「天か、何が起こっているかわかるか、巨大な飛行物体に遭遇している」
「それはレヴィアタンだ。何としても確保を頼んだぞ」
急遽ミッションがスタートしたのであった。




