▽戦争の倫理
「まず最初にこれだけ言っておくぞ!晴明が君を許したとしても俺は断じて君を許さない!」
晴人は強くそうは言ったがあくまで表向きで言っているようにタマモは感じとっていた。人に厳しい言葉を吐く時の晴人は得てして自分自身のにもなんらかの負い目があるときであった。晴人も悩んでいたのだ天鼓の策略によって多くの人たちが犠牲になったことを、戦争を憎んでいた晴人は犠牲になったものの大半がその戦争に加担していたものたちだとしても死んでも当然だと割り切ることができないのだ。簡単に間違ったことをしているというだけで抹殺するという判断には同意することは断じてできないと言っているのであろう。
「弁解はしません。非人道的なこととは思いますが私は魔族を守る立場のものなのです。神々との戦い以前に人と魔族の戦争でもあるのです」
「その戦争は終わったんじゃないのか。人類の大多数が亡くなった時点で」
90億人はいた世界の人口が10億を切った現在の数字を語る晴人
「魔族の数は1億にも満たないのですよ。この地球に人類は蔓延りすぎたのです」
「勘弁してくれよ。害虫じゃないんだぞ人の命は人類は君も今まで見てきただろう誰もその行いが死に値するような存在ではないことを」
「選択の余地が黄泉津の侵略のため十分な時間がなかったということにしていただけないでしょうか。回避不能だったんです」
黄泉津は戦闘可能な人類全てを鬼人兵にするために戦っていた。それを阻止する選択肢が抹殺しかなかったと言いたいのであろう。喜多屋がポツリと一言言った。
「誰も神になれないしなっちゃいけないんです。もっと時間をかけて話し合う方法を選べなかったんですか。まず命を救う選択を」
晴人は喜多屋の肩を抱き
「これからその話を進めようじゃないか天鼓くん」




