▽食人木
「しかし楽でいいがスピードがなぁ。リリどうしてベヒモスを使ったんだい?何か別の理由がありそうだが」
「晴人、こいつで移動するのは五合目までだその先は自分の足で行くしかないが行けばわかるぜ」
謎の言葉を残してベヒモスはゆっくりと山へと向かっている。喜多屋はヴァイオリンを持ち出しシューベルトの軍隊行進曲をゆっくりと奏で出していた。そのメロディに合わせてベヒモスは鼻を揺らしリリもリズムを取っていた。
やがて登山口に辿り着くと登山口と書かれた門は固く閉じられていた。
「おーい!私だもんを開けろ!」
リリが叫ぶと大きな重い門扉がゆっくりと開かれていった。小走りに走り寄ってきた警備兵が
「リリ様、そろそろお越しかと思ってました。大分と繁殖しておりますよ、お気をつけて」
と言い引き上げていった。
「リリさん?繁殖しているって何がですか」
後ろにいた喜多屋が尋ねた。
「パティーに火系統の呪文の得意なやつはいるか。できれば手伝ってくれ」
「?何をですか、私がいきますけど」
あかねが立ち上がり答えた。その理由がすぐに判明した。ベヒモスが進む先に食人木が行手を遮っていた。
「なるほどな、黄泉津迷宮にいたやつじゃないか。こんなところで繁殖していたのか」
晴人はそう言って炎弾を打ち込んで一体を灰と変えた。タマモも狐火を放って加勢した。
「アオイにヤジロウ、行ってくるぜ、ひなたも行くよ」
「オッケ!」
二人は勢いよく飛び出してひなたは狐火、アカネは火弾を互いに交互に打ちまくり晴人とタマモに道を作り援護していた。ベヒモスは鼻を使い食人木を捉え次々に食べていた。
やがて半時間ほどで次の門で五合目となっていた。
「なるほど、餌も兼ねてここまで来たのか」
「そうだよ。ここには食人木の親方がいたが鬼になって世界に出たが切っても切っても次々と湧いてくる厄介なやつらだ」
「餌には困らなくていいじゃないか、それじゃ山登りとしまうか。行くぞみんな」
山頂へと続く道を進み出した。




