▽共闘作戦
「みんなお尻の針に気をつけて飛ばしてくるわよ。それに触覚を切り落としなさい」
タマモはそう言いながら女王アリを探すべく前へと進んでいた。古代蟻と異界獣の違いなんてわからないと言いながらひなたは針の攻撃を巧みに避けて拳で頭を砕いていく。アカネとアオイはチームプレイで正確に触覚を狙いアリたちの行動を封じたところで呪文を打ち込み滅していった。アーロンは喜多屋の前で構え演奏をサポートしていた。喜多屋の演奏は近づくアリたちを戸惑わせていた。女王アリの指令をかき消すように動きの止まったアリをアーロンが槍でやっつけっていた。
アリたちの攻撃が止まり引き返していく。タマモは女王アリを見つけて狐火を放とうとしたが手が止まる。晴人が追いついて
「なぜ撃たない?」
「あれ、人が乗ってるの捕まえてあなた」
晴人はそのツノを生やした魔人にタックルをして蟻から引き離した。その人物の背後に腕を組み伏せて押さえつけた。
「黄泉津のものか答えろ」
「まって!あなたリリちゃん?」
タマモはしゃがみ込んで魔人の顔を覗き込んで言った。女も驚いた顔で
「タマモママ!」
「やっぱり、大きくなったわね、あなた手を離して」
晴人が手を緩めると飛び退いて二人を見つめた。
「Zの孫のリリなのか。でもどうしてまた」
組み伏せられていた腕をクルクルと回して首を振りながら
「天鼓様の命令で黄泉津虫の巣を破壊しに来たのよ」
女王蟻に手を触れると進軍が止まりゾロゾロと背後に整列していった。子供達も集まってきた。
「どうしたのかな急にみんな逃げていったけど」
「この人は敵じゃないのママの古い知り合いよ。リリって言うの」
整ったか顔立ちにスラリとしたスタイル、喜多屋は一目で興味を持って
「僕はジロー、よろしくね」
「なんで急に挨拶するのよヤジロー少し綺麗だからといって、ボクはひなた、タマモママの娘でここにいるのはみんな友達、あなたのことを教えて」
「リリ、天鼓のところにいるのか、俺たちも同じ目的で巣を破壊しにきた。どうだい一緒にやらないか」
リリは考え込んで晴人たちをそれぞれ見つめて
「あなたちこそどうしてここに、そこの緑の子はドラゴノイドね」
「そうだ王ヨシュアの子、アーロンだ」
「いいわ、今回だけよ一緒に作戦するのは、この先の洞窟に巣の迷宮があるわ、ついていらっしゃい」
振り返り進もうとしたがお腹がグーとなった。
「リリちゃんお腹が空いてるのね。ちょうど私たちもご飯の途中だったの食べてから行かない」
少し照れながら
「あの匂いはあなたたちだったのカレーが食べたくなってたの」
「まだたくさん残っているからこちらへどうぞ」
アオイが手を引き誘った。




