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▽山の中

 グリードは四人を裏山へ続く道へと案内していく

「こんな山の中に入ってどう言うことでしょう」

 輝也は晴明に言っていたが当然、山が切り開かれ整備された飛行場が現れた。数機の機体が並んでいた。

「あれがカミーラです。全長十メートルほどのサイズですが、綺麗でしょ」

 緑の迷彩が施された紡錘形でジンベイザメのような機体を指差した。

「あれがカミーラ、吸血鬼みたいな名前だけど」

「違いますの観葉植物ですよサトイモ科のここにある機体はすべて観葉植物の名が冠されているんです」

 ヤーシャの趣味であろうか意外な命名に晴明は微笑んだ。

「そうですか、でもエンジンもプロペラもない?どうやって空を飛ぶんですか」

「ご存じロストテクノロジーの詰まった機構で反重力で移動します。操縦は私にお任せください。さあ搭乗してください」

 大きく開けられた口のような部分から中へと入って行った。そんなに広くない内部は壁に沿っていくつかの座席が並び上陸用舟艇と呼ばれる体裁を保っていた。上へと向かう階段が操縦席のようであった。

「ではお好きなシートにかけてお待ちください。機内サービスはできませんがね」

 グリードは階段を上がっていった。晴明たちは向かい合わせで座ると

「外が見えないですね」

 晴明は少し不安な気持ちを口に出していると機体が動き出すのを感じた。カミーラは垂直に浮かび出したようである。すると壁の部分が透けて外の様子が見えるようになった。

「それでは行きますよ。シートベルトをお願いします」

 景色が流れ出しぐんぐんとスピードを上げて行った。


 隣り合わせに座る晴明と輝也は向かいに乗るオオガミを見て

「オオガミとヤーシャどんな関係なんだろうね。あの部屋での見つめ合う雰囲気はただならないものを感じたね」

 小さな声で輝也は耳元で囁いた。

「確かにね。君も感じた、あんなオオガミさんは今まで見たことないよ。異世界で二人は何かあったのかな」

「昔、ハルトの街へ行く列車で教団に襲われて私と別れ二人で行動していた時に何かあったのかな」

「聞くに聞けない感じだね。しばらく黙っておこうよ」

 二人で頷いていた。


 カミーラは前面のまどに浮遊大陸が見えるところまで来ていた。

「高度を上げないよ?これじゃ下をすり抜けてしまう。グリードに聞いてくるよ」

 晴明はシートベルトを外すと階段を上がって行った。

「どこへ行くの?」

「世界樹の山の()ですよ」

「そう言うわけだったんだ下って」

 氷柱のように突き出た浮遊大陸下部を進むと洞窟が現れたのであった。

「晴明様、座席にお戻りください。間も無く当機は着陸の準備に入ります。シートベルトをよろしく」

 晴明が座席に戻ると窓は再び壁に戻り着陸のショックで大きく揺れ始めた。

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