▽再びのハクトダルヌ
アーロンが持ち込んだチップを解析していたロッソは何度も頷いて納得していたようであった。その様子が気になる晴人は
「面白いことでも書いてあるのか。それでサグメについて何か解ったか」
「それはもう天鼓様のご推察には慧眼に値します。晴人様はハクトダルヌをお覚えですか」
それはもの言う石の化身である。十五年前にキビツ遺跡で黄泉津をオーディンの馬で具現化させオオガミを捉えた謎多き存在であった。
「まさかサグメの正体はハクトダルヌなんてことを言い出すんじゃないだろうな」
「中身は変わっていますが黄泉津によって再調整された個体とのことです。さらに面白い考察はもの言う石は地球外の物質と結論付けたことです」
「地球外生命だって!?タカアマーラと関係があるのか」
「関係性は不明ですが地球の生命の分類からは大きく異なっています。オオガミ氏の血液やアスタロトたちの再生能力はもの言う石の成分が多分に寄与しているとのことです」
タカアマーラの侵略が始まることを知らない神妙な顔をして黙っている晴人に
「おはよう!パパなんで難しい顔してるの」
子供達が目覚めタマモと共にやってきた。
「おはよう。そんな顔していたか」
「ええあなた、昨日飲みすぎたんじゃないの」
いつもながら明るい妻に顔が緩んだ。
「みんなも聞いてくれ。俺たちはこれから浮遊大陸へ向かおうと思う」
「あらどうやって?飛行船は晴ちゃんが乗って行ってないわよ」
「ゲートがドラゴニアと繋がった。向こうに行ってからの手段はどうにかなるだろう。朝飯食ったら出発だ」
急なクエストに反応したのは喜多屋であった。
「行くぜ!みんな、僕たちで世界を救おうぜ」
「なに張り切っているのヤジロウ、寝癖なおしな」
「うるさいなぁひなたもな」
「さあさあ言い争ってないでほらご覧なさい。アカネもアオイも朝ごはんの準備を始めているじゃない。席について」
騒々しい朝ごはんが始まった。その行方に待ち受ける困難をよそに




