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●レジスタンス・ブルー

 アオナはここカクシ区で占い師として、三ヶ月営業をしていた。顔をベールで覆いそれっぽい服装で妖艶な雰囲気を醸し出していた。よく当たると口コミで人気を博し、あまりの繁盛に予約制となっていた。

 アオナには手を触れることにより人の心を読むことができた。本人の望むことをさも占っているように見せて語るのであった。人というのは自分の都合のいいことを信じやすい。それでよく当たると人気になったのだ。ハルトの行う八卦とは違うが、これが狙いだったのだ。占いの言葉に巧みにレジスタンス活動を誘引させるキーワードを入れていた。

 その仕事を隠れ蓑に義賊活動をブルー・ワンのキクナ、ブルー・ツーのミズナのエルフ族三人で行っていた。もちろんキクナとミズナも占い部屋で働いている。


 つい先日はシーモフサルト兵の占いを行った。思ってもいなかった軍の情報も収集できこちらの活動の参考にさせてもらった。


 仕事を終えて着替え、遅い晩御飯へと街へ出た。このカクシ区もほかの区と同様に一般市民は苦しんでいた。レジスタンスの活動に期待する市民であふれていた。

 大きな寺のある町であるが信仰の自由を制限され、ここもすっかりさびれていた。門前町に古くからある料理屋で三人は食事をとっている。

「ここの料亭もメニューの種類がめっきり減っちゃてるね」

 アオナはお品書きを見ながらしみじみつぶやいた。

「この前に食べたお肉料理もなくなてるな。ミズナも気に入っていたのに」

「残念、キクナも美味しいって言ってじゃん」

「値段も高くなってるし、いよいよって感じね」

 エンドワースでの敗戦がこんなところにも影響を与えていた。

「自炊する?」アオナが言うと

 キクナが「誰が作るの私何も作れないよ」

「同じく、生まれてこの方、父さん以外は家では母さんも料理作らないよ」

 エルフ族の男たちは尻にひかれっぱなしだ。

「そろそろ、ショーロンから次のターゲットの連絡がある頃ね」

 ミズナが言ったショーロンとは隊のブルー・スリー、徒手空拳の名手で、レジスタンスのリーダを命じられている。

「家に帰ればそろそろ連絡が入っているかもしれないな」

 アオナたちは一軒家をシェアして住んでいる。食事を終え帰宅をするとやはり暗号での連絡が入っていた。アオナはそれを読むと燃やして捨てた。

「やっぱり今夜、穀物倉庫を襲撃するみたいだ。準備するよ」

「アオナ、やっぱり掃除当番ちゃんと決めない。それぞれの部屋は自分で、ここの共有スペースくらいはなんとかしないとめちゃくちゃになってるよ」

「そう、そんなに気にならないけど」

 アオナはそんなに気にしていないようだった。

「先月まではQくんがいてちゃんとしてくれてたのに、配置転換になってこの始末よ」

 ミズナが言うとアオナは

「あなたたちがこき使うから逃げたんじゃない。うまく男は使わなくっちゃ。この話は後にして着替えるわよ」

 黒いボディスーツに青いマスクに着替え背中に弓を担ぐと天井裏から出て、屋根伝いに目的地を目指した。


 穀物倉庫ではショーロンたちがスタンバイ済みであった。

「お待たせ、ちょっともめちゃって遅くなったわ。ところでショーロン、一緒に住まない」

 とハルナいうが

「いえ、隊長さま結構です。ご自分のことはご自分で」

 すっかり読まれてしまっている。

「まあいいわ、ヘイ・オン・ワンに要請しておくわ」

「ヘイ・オン・ワンは家政婦斡旋所じゃありませんよ。それよりそろそろです」

 一台の車が荷物を満載にして倉庫へやってきた。扉が開き魔族の兵が出てくるところをアオナたち三人は弓で射抜いていく。素早い連射だ。ショーロンたちが制圧にかかる。

 見事な連係で車を奪いレジスタンスの同志たちが引き上げていく。

 アオナはカードを一枚置き去っていった。


 大きな満月に三人の影が浮かび上がった。

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