▽神々と戦う魔王
ドーマハルト号はマナーコを離れると浮遊大陸に向かいドラゴニアに着陸した。
「晴明、色々と迷惑かけた。ユーダもこうして仲間のところに戻れて幸せだろう」
持ち帰った遺体を前にヨシュアはそう述べて黙祷した。サマラとイーシャもそれに続いた。遺体は荼毘に付されると城の霊廟に安置された。それは国民には知らされずしめやかに行われた。
そして晴明はドーマハルト号の工作室に戻ると急遽作られた拘束室にいるグリードへ尋問を始めた。
「さて君には聞きたいことが山ほどあるんだが答えてくれるよな」
拘束室は外部から完全に隔離された空間である。これから先ロッソたちに手を出せないようにするためであった。グリードは淡々とした口調で
「私は天鼓マスターが世界樹山のモノリスに触れられる以前の思考パターンを元に構築されたデータの範囲内で全てお答えしましょう」
「それでは研究所にるロッソたちと変わらないのではないのか?」
「βたちのことですね。その通りです」
輝也も尋問に加わった。
「槌熊がモノリスから受け取ったメッセージを聞けばより深く天鼓の考えに至れるということだな。槌熊話してやってくれ」
「俺とヤーシャはその一部を理解できたに過ぎないがそれでいいなら話そう」
「頼む槌熊、私もその話が聞きたい」
グリードを見つめたていた晴明は槌熊に向き直る。
「神々の降臨の準備を命じられた。おそらく黄泉津もその指令をもとに動いているはずだ。天鼓がそう言っていた」
「神々の降臨?タカアマーラの住人がやってくるということなのか」
「俺に正確な時はわからないが、近い将来間違いなくその時が来る」
「その準備とは世界を征服しておけということでいいのか、それとも人類の滅亡を命令された?どっちだ」
「おそらくそのどちらかだろう俺にはわからない。ヤーシャもそうだろう。ただ天鼓は魔界の王だ。魔界の住人のために動こうとしている」
「魔界の王?」
「天鼓はモノリス触れてそのことに思い出したんだ。彼は前にあった降臨の際タカアマーラと戦った王の転生体だったんだ」
「神と戦った魔王!そんなことは聞いていなかったぞ」
輝也は驚いて言った。
「悪い俺も魔王の転生体なんて信じられなかったからだが今はその通りだと感じている」
槌熊は輝也にメダル化された体を託した際に確証を得る何かがあったのだろう。
「神々と戦う魔王・・・・」
晴明はオオガミを見つめた。