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▽ゲートを超えて

「パパ、研究所に行こうよ。フー師匠と修行したいよ。ねえねえ」

 ひなたは晴人にねだっていた。

「龍宮から戻ってまだ二日目だぞ、もう少し休んだらどうだ」

「もう十分休んだよ。退屈だから行こうよ。ねえねえ」

「いいじゃない私も一緒に行くわ」

 タマモも退屈しているようであった。

「こんにちは、ひなたは居ますか」

 喜多屋も同じく暇を持て余してアカネとアオイと一緒にやってきたようであった。

「仕方ないな。八式も鬼無瀬が乗って帰ってしまったし移動手段がないぞ」

「いいじゃない走っていけば。修行したからそのくらい楽勝よね。みんな」

「そうだよ。ヤジローもアカネもアオイも大丈夫だよね」

「そうだそうだ、たった10キロくらいでしょ。三十分かからないじゃん。僕たちだけでいってもいいかなひなたのお父さん」

 たった10キロと言ってもアスリートのマラソン並の速度である子供達は元気である。晴人も仕方ないと言いながら頼もしい気持ちであった。

「わかったよ。俺も気になっていることがあるから行くとするか」

 重い腰を上げ靴を履いて外へ出ていった。

「やった!みんな競争だ。行くよ。よーいどん」

 四人は勢いよく走り出した。

「俺たちも行くか」

「待って、あの子たちの食事の用意を持っていくから」

 厨房へ戻ってからタマモと晴人も後を追い走り出したのであった。


「いぇーいっボクが一番!」

 指を立ててひなたが研究所の門をくぐった。

「ずるいよひなた、途中で飛んだだろ。僕の勝ちだよ」

 喜多屋はぜいぜいと息を吐いて叫んだがアカネとアオイは涼しい顔でその喜多屋を追い抜いて研究所に入っていった。

「フー師匠〜修行お願いしまーす」

 早速フー・スーは出迎えた。

「あらひなちゃん、元気でよろしいにゃトレーニングルームへ行くにゃ」

「ちょ待ってよちょっと休憩させてよ。喉が渇いてからからだよ」

「ヤジロウさん、そうですよね、ロッソさん冷蔵庫開けますよ」

 アオイがロッソを呼んだが姿を現さない。そして晴人とタマモがやってきた。

「どうしたんだ。ロッソはどこだ?」

「ゲートの前にいるにゃ。なんだか起動し始めたそうにゃ」

 晴人は厳しい顔でゲートルームへ向かった。


「何があったんだ。この15年うんともすんとも稼働しなかっただろ。誰がやってくるんだ」

 タマモは鼻を動かし

「あら、久しぶりじゃない。あなた警戒しなくていいわよ」

 久遠と晴海と子供が現れた。

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