▽解禁
「ここが式年造営御柱大祭の宮か、手分けして辺りを調べてみよう」
御柱の宮に久遠たちはやってきたのだが案内したグリードはここまで来るとすぐに帰って行ってしまった。晴海と輝也は外周をそれぞれ分かれぐるりと周りだし久遠は御柱を入念に調べ始めた。
「特に異変はなさそうだな。そっちはどうだった」
二人とも首を振るだけでまだ敵に動きはなかった。うろちょろしている三人を見つけた背の高いキリンの獣人の宮司が近づいて
「あなたたちは何者ですか。今日の祭りを見にこられた方ですかな」
「いえ、私たちはこの宮を警護にきたものです。何か今朝から変わった様子はありませんか」
「さあ何か起こるんですか。他のものは城へ祭事を行うために出ており私一人なんですが呼びに戻りましょうか」
「いや結構ですよ。それより城の祭事は何時から行われるですかね」
「日が沈むと始まりますのでまだ一時間以上後ですよ。美しいですよ。いや美しかったのですが私が幼かった頃は言霊が述べられると真っ赤に五本の御柱が全て光りそれぞれを結びマナーコを中心に光が交錯して明るく空を照らしたものですがここ数年その輝きは毎年色褪せてしまったのですが」
寂しそうのキリン獣人はその長い首をうなだれため息をついた。
「それは楽しみです。どうして光が弱まったんでしょうかね」
宮司は懐から御柱の前に並ぶに並ぶ神官たち写真を取り出し久遠に見せた。
「これは30年前の写真です。この小さいのが私ですがこの頃からですね」
写真を見いる久遠が突然閃いたように
「これは前の御柱ですよね」
「そうですが何か?」
「柱が上下逆さまじゃないですか」
宮司もそれを見て今の柱と見比べた。柱に刻まれた紋様が逆を向いていた。
「確かにそうですね。気が付かなかったです。どうしてそんなことに」
輝也がその写真をひったくり
「封印解除が起こるかもしれない」
「どう言うことなのカグヤ」晴海は輝也に問い返すと、
「逆転配置をして解禁を起こすつもりだ。そうか三十年前から行われていたんだな。つまり今年で全てが入れ替わった」
「レヴィアタンの封印が解けてしまうじゃないか。今更元に戻す時間がないぞ。城に戻って晴明くんに知らせなければ」
黄泉津の企みが明かされ久遠たちは急いで城を目指して行った。