△次なる戦い
須久那坊にたどり着いた晴人に出迎えたタマモは軽くキッスをするとすぐにひなたを抱きしめて
「バッチリ修行はできた。あれ少し情けない顔してるじゃない。あとでゆっくり聞かせてね。それより先に早くお風呂に入ってすっきりしなさい。ほらアカネもアオイも」
子供達の背中を押して
「リサちゃんも後でよく冷えたビールでもやりましょ。お姉さん役であの子たちの面倒ありがとうね」
「いえタマモさん、そんな何もしていないですよ。いい子達です」
「いるだけでひなたなんかはハメ外さないでいれるのよ。そんなもの」
「これを元さんに渡して、今夜は寿司パティーだ。カグヤもジローも風呂に行くぞ」
晴明とアカネが仕入れた魚を渡した。
その夜は元太郎とたえも相席し山盛り豪華な寿司桶を囲んで修行の打ち上げが行われた。その後、晴人夫妻は喜多屋を家まで送って夜道を二人歩いていた。
「久しぶりにあったけど園長先生も元気そうだったな。しかし息子がえらいことに巻き込まれているなんて言えなかったな」
「あら知っているわよ晴子さんは姪っ子の晴海ちゃんのこともみんな筒抜けだったわ。水瀬家の定めだって諦めてたわ」
喜多屋の母、晴子は八雲家のことも全て知っていたのであった。
「ということはあとは元さんか。話すべきかなこの戦いのことを」
「それも知ってるわよ。私が話したから、タウちゃんとたえちゃんのことから全部」
「ええ本当かよ。驚いていただろう」
「うーんそんなに、だって陽子の姿とタマモの姿変えるの面倒だったから話しちゃったのよ」
「まったく、お前って奴はいい嫁さんだよ。もう一つ悩みがあるんだけどな」
「子供たちのことでしょ」
「まいったなお見通しか・・・」
「嫌われてないわよ。安心しなさい」
晴人が見上げる澄み切った空にはオリオンの三つ星が輝き秋風がススキの穂を揺らしていた。
「ロッソさん、全部回収終わりました」
ロッソは目覚めたアーロンに命じて大百足の死骸を回収させていた。研究資料にするためであった。
「ありがとうございます。この外皮は何かに応用できそうなので助かりました」
「ねえロッソそれで木戒鬼の行方わかったの」
「それは晴明さんが卦を使って調べてますよ。ご安心を」
晴明はキャラバン隊とムーンライト部隊の遺品を並べ卦のウインドウを並べ眺めていた。
「だいたい絞り込めたけどサグメと木戒鬼が交差するポイントは三日後のマナーコ稷兎遺跡だ」
「そこに早く行こうよ」
「ドーマハルト号はいつでもオーケーですよ」
晴明は立ち上がると収納庫へ向かっていった。




