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△天佐具売

 しばらくの黙祷を終え、研究所に戻る晴人たち

「皆さん素晴らしい戦いでした。しっかり記録させていただきました」

「ロッソ、ムーライト部隊の通信記録をダウンロードしてくれ」

 晴人は戦いの中で持ち帰っていた鬼人兵の七式強化装甲の腕時計をロッソに投げ渡した。

 頭部を切り落とされてはいたがそれまでの行動と受信データは端末として記録されていたのだ。ロッソはそれを解析器にかけ音声を再生した。佐藤隊長がサグメに出会いその手に落ちるまでの会話が流れた。


「この部分の画像を頼む」

 司令室のモニターにサグメの姿が映し出された。晴人は

「このサグメって、女はカルヤシャみたいな能力を持っているようだな。槌熊、カグヤ何か知っているか」

 二人は首を横に振る。

「黄泉津の参謀か、五人の鬼とは別と考えていいね親父」

「ああ、黄泉津は天鼓が倒したと言っていたな。今はこいつが作戦と指揮をとっていると考えていいな」

「サグメですか。古代日本の神に天佐具売(あめのさぐめ)と言うなの女神(じょしん)がいましたがそれにちなんだ存在なのでしょうか」

「そいつの位置付けはどうなっているんだ」

「古事記の記述は神託を受けて吉凶を判断する巫女ですが天邪鬼(あまのじゃく)と言う説もあります」

「それは厄介な女ということか」

「でもあの生物はカルヤシャと同じだね。どうやって倒したんだ親父」

「タマモが暴走して晴明と同じく分子レベルでバラバラにして退治したのさ」

 それは彼の記憶に封印された平安時代に青龍化したワームを退治したときのことであった。

「倒せない存在じゃないということだね」

「ああそうだ。それはそうと帰りが早かったが養殖場には行って来たのか」

 アカネはトロ箱を指差した。

「早く帰ってウチの親父様に握ってもらおうぜ。ひなともアオイもしょぼくれてないで元気出そうぜ。とびきりのネタだよ」

「パパ帰ろう。お風呂に入りたい気分なんだ」

 本調子に戻れないひなたはすっきりとしたかった。

「よし、みんな車に乗れ帰るぞ」

 シグナルガールたちは晴人の軽自動車へ輝也と喜多屋たちは鬼無瀬の操縦する八式へと分かれ須久那坊を目指していった。

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