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△鬼無瀬と桑原

 一月ほど前のことであった。アルテミス学園の修学旅行でエンドクエイクに遭遇したひなたはわが家に帰る旅の途中、天鼓の放った異世界獣の妨害にあっていた。障壁となる敵をムーンライト部隊との合同作戦で取り除くための壮行を兼ねた食事会が開かれていた。


 駐屯所の食堂では今川隊長を含め二十名の隊員たちとビュッフェ形式で楽しく会話を進め食事をしていた。


「君たちは五人でそんなことまでしていたのか、うーむまだ中学生だろ」

 東京からの旅を喜多屋がオーバー気味に隊長に話していた。

「今川隊長、私の後輩ですもの特殊なカリキュラムで育成されていますから少しは誇張があるかもしれませんが大体はその通りです」

 鬼無瀬(きなせ)は喜多屋の肩を抱きながら話の内容を保証した。

「しかし鬼無瀬一佐の出る幕はなかったようだな。彼らを送り届けた後はどんな任務に就くんだ。俺たちと同じ呪班(情報保全隊呪術班)所属だろ」

「それが御堂幕僚長の司令直轄のままのようです」

「そうか富士(ここ)で一緒に働きたいなと桑原が言っていたぞ」

 きょとんとする鬼無瀬に

「今川隊長、そんなことは言っておりません。ただどこの配属になるのか聞いただけじゃないですか。勝手に話を膨らませないでください」

 桑原は顔を真っ赤にして言い訳をするが鬼無瀬を気にしていることはばればれであった。

「桑原曹長は研修で鬼無瀬一佐とお酒を飲んだ思い出を再会した後に自分に喜んで話してくれたじゃないですか。それに田舎の両親から早く結婚して戻ってこいと言われているのでは」

「こら!佐藤!余計なことを言うな」

 鬼無瀬は困った顔をしているとアカネが

「桑原さんは彼女いないんですか。結婚とか考えている」

 アカネは晴明から鬼無瀬を引き離そうと桑原に押し付ける気なんだろう。

「ダメよ。アカネちゃん、桑原さんに迷惑よ私なんて」

「いや迷惑だなんて言ってません」

 桑原はつい言ってしまったが

「ごめんなさいね。私は鬼無瀬家を守らないといけないんです」

 喜多屋は桑原の横へ移動して肘で突きながら

「ふっふ、リサ先輩は僕にまかせてくださいよ」

 その喜多屋の太ももをギュッとつねるアオイであった。

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