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△アカネとデート

「ただいま!」

 研究所に勢いよく飛び込んできたのはひなたであった。そこから肩にアーロンを担いだ槌熊と最初に遭遇した。

「よっ!嬢ちゃんはいつも元気だな」

「あれアーロン、どうしたの?」

「ちょいアクシデントでぶっ倒れてしまたんだが大丈夫だよ。それより修行はどうだった」

「バッチリだよ。早く披露したいけどお腹すいちゃったよ」

「ジローはどうだ、いい顔してるぞ」

「槌熊さん、まっそこそこかな」

 槌熊に褒められて満更でもない顔をする喜多屋だった。


「ロッソ、ポーアイにある倉庫の在庫はここから調べられるのか」

「晴人さん、何か必要なものがあるのですか」

「いやこの子達に美味しい寿司を食べさせたくて宝蔵院の物流倉庫はいろんなものがあるだろう。いいマグロとかあるかな」

「それならグループの運営している養殖場の魚はいかがですか」

「そうかその手があったな」

「どの養殖場も稼働中です。マグロとハマチにエビや鯛とか牡蠣など」

「いいな、どれも寿司ネタに十分だ。しかし遠いな」

 モニターに映し出されたその場所は瀬戸内海の各地に散らばっていたのだ。

「親父、私が飛んで回収してきてやるよ。うまく回れば小一時間で帰って来れる」

 晴明がその役をかって出てくれたのだ。

「晴兄、私も付いて行ってもいいかな。ネタの目利きをしてやるよ」

 須久那坊の板長の父から仕込まれた食材の目利きの腕は確かではあるがアカネはただ晴明と共に行動したいからのことであった。

「晴明さんこの出荷証明書を持って行ってください。数量は向こうで記入くださいね」

 ロッソは養殖場の須久那坊宛の伝票を渡した。

「それじゃこれから朱雀の姿に戻るからしっかりしがみつくんだよ。わかったアカネ」

 神獣朱雀のピコーナを依代として晴明本人は憑依している状態である。その主導権をピコーナに譲渡して養殖場まで飛んでいくつもりなのだ。

「ボクも一緒に行きたいなぁ」

 ひなたも兄と空を飛びたそうであったが

「ダメ!お留守番しときなよ」

 アカネは晴明に抱きついて表に出て行ってしまった。

「ひなた、邪魔しちゃいけないよ。アカネに譲ってあげなよ、それよりフー・スーさんに修行の成果を見せましょ」

 アオイはアカネの意図を汲み取ってひなたを引っ張ってトレーニングルームに連れて行ってしまった。

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