△竜宮修行
ドラゴニアの宮殿から晴人の旅館、須久那坊へ戻り一週間あまりが経っていた。晴明は呪詛によって変わり果て異形の姿のため家には戻らずテンミニッツ・ロッソの研究所で過ごしていた。
「晴明さん、黄泉津虫の解析がほぼ終わりましたがご覧いなります」
ロッソはトレーニング場でフー・スーと組み手をしている晴明に放送で呼びかけた。
「わかったよ。すぐいく」
「晴明、ひなたちゃん達はいつこっちに来るにゃ」
「龍宮での修行も三日目か・・三年くらい修行したとってところか楽しみだな」
青龍ミシエルの山の龍宮では時の流れが浦島太郎の竜宮城とは逆の状態である。こちらの世界とでは時間の流れが異なりおよそ1年がこちらでは1日ほどしか過ぎていない。
「ひなたはおおきくなったかにゃ?女子高生だなにゃ」
「そんなことはないよ。あの子達の時は動かない歳を取らないで何年も修行ができるが百年を超えて止まることが許されていない場所だろ」
晴明はフー・スーを残しタオルで汗を拭いながら研究室へ向かっていった。
「見てください。すごいですよこの体組織、一週間で元通りに復元しています。この脳幹部を完全に破壊されない限り自己修復が何度でも可能なんですよ。但し寄生体に融合している場合ですが」
「つまり虫本体を潰しても首を切り落とさないと復活するってことか。厄介なやつだな」
「寄生された者は一種のゾンビということですね。寄生体が受けたダメージの修復もこの虫が助けています」
「それでこいつの繁殖方法はわかったのか?」
「この個体達に繁殖能力はありません。おそらく晴明さんが戦った木戒鬼に秘密がありそうですね。映像があればもっと深く分かったのですが」
「私が戦いの映像を念写してみるよ。デバイスを用意してくれないか」
「わかりましたそこへ座って待っていてください」
ロッソは晴明の頭にドーマがつけていた仮面に似たヘルメットを被らせた。