△再会の親父達
宴席の場に戻る晴人は料理の並ぶテーブルを見て
「おいおい、普通のベール風の料理じゃないかよ。そうかサマラの影響か」
同じく付き添い戻るヨシュアは
「晴人は昔、オワリトリアの洞窟で開いた歓迎の宴でガーグ(活みみずの造り)をうまそうによく食べていたな、サマラに怒られて今日はしまわされてしまったが持ってこようか」
ヨシュアは賛同者を見つけたが如く笑いながら晴人に言うが
「ヨシュア、無理しなくていい手間をかけたくない」
ありがたくない申し出を断っていたが
「親父料理ばかり見てないでよく会場を見ろよ」
晴明はニヤニヤと父の顔を見つめ呟いた。大事なことを見落としている晴人の顔色がパッと明るく変化し小走りにテーブルを駆け抜け
「オオガミ!」
オオガミはとっくに気がついていたが娘の安否にオロオロと狼狽えている晴人をニヤニヤと見て楽しんでいたのだった。
「娘は可愛いよなパパ、俺には無縁なことだが笑えるよ、あのときの晴明にも少しはその気を使ってやればよかったのによ。ともあれ久しぶりだ」
グラスを掴んだ反対の空いた手でハイタッチの再会の挨拶をした。晴人はオオガミの胸に握り拳を当てるが目に薄らと涙が浮かべていた。
「この野郎!もっと喜べよ。少しはハードボイルドが身についたようだな。それはそうと、これから手伝ってもらうことが山盛りだぜ」
旧友の再会、晴人にとって最大のご褒美であった。
「ジローのことだな」
オオガミもすでに喜多屋の能力に希望の光を見ていた。槌熊が近づいてくると
「よっご両人再会の抱擁はいいのか。そこのバルコニーに出て月を肴に呑もうぜ」
「私もよ」
タマモが酒瓶を持って乱入してきた。
少し離れたテーブルでは晴明と輝夜が二人で会話を続けていた。
「晴明、これからの戦略が見えてきたな。あの子達には気の毒だが世界のために働いてもらわないといけない」
「もっと簡単な方法があればいいんだがな。でもそうもいかない現実だ。カグヤもそれしかないと思っているんだな」
「君が昔私に言っていたことだろ。仲間を信じて戦えって信頼が一番の強みだって」
「叶わないな、忘そうにになっていた言葉だよ。絆だな」
「晴明先生、私も何か手伝えませんか」
「鬼無瀬くん、もちろんそのつもりだよ。でも厳しい闘いだ。また修行をしてもらうぞ」
「はい!喜んで」
鬼無瀬は瞳を輝かせて晴明の手をしっかりと握りしめていた。
「リサたんは晴明にメロメロだな。どうだい晴ちゃんよ」
「もう軽足さん冷やかさないでくださいよ。鬼無瀬さんは真剣なんだから」
「晴明さんにかな」
「ちょっとありますよ先生」
晴明の困った顔を見て輝夜は笑っていた。




