△謎の少年
更に荒れ狂うように暴れる木戒鬼にオオガミに槌熊もなすすべがない。
「どうなってやがんだ、あいつはヨシュアよ、竜化に弱点はねえのかよ」
槌熊は後方にいるヨシュアに問いかけていた。
「そんなものあるわけないじゃないですか。我らの最強の形態ですよ。そうして竜族でもないやつがあの姿になれる方が不思議です。ここは私が」
とヨシュアは言うと自身も竜化するとがっぷりと四つに組み込んだ。力は互角のようで両者は睨み合ったままその態勢を維持していた。王子のアーロンは宮殿に戻りオオガミのための巨大な刀を引きずりながら携え現れた。
「オオガミ師匠、こんなものでいかがでしょうか。大きすぎましたか」
その刀は竜化したドラゴノイドが使うための刀であった。
「おお、いいじゃないか。これであいつに目のもの見せられそうだ」
刀身が二メートルを超しそうな大きな刀を片手で軽々と振り回しそう言った。
「ちょっと輝也、あの人すごいよ!」
「そりゃオオガミだからな。今は満月ではないが晴明の剣の師匠だよ」
ひなたは敵兵を殴りながらオオガミの動きを注視した。オオガミは両手で大刀を掴み直しヨシュアと組み合う木戒鬼の後ろからジャンプして頭部目掛け振り下ろしたがその攻撃にくるりと向き直るとオオガミごと刀を払いのけた。分厚い鱗に守られたその額には傷一つ与えることはできなかった。
鬼の兵士たちだけはドラゴノイド兵とひなたらによって無力化に成功していた。大将の木戒鬼だけとなってはいたが苦戦には変わりなかった。
ヨシュア、槌熊、オオガミの三人を物ともせず優勢さを保つ木戒鬼、のひなたたちは指を咥えて見守るだけしかできないでいた。
すると突然吹き飛ぶ木戒鬼、誰もが唖然とし見つめる先に金色に輝く一人の少年がいた。
「待たせてごめん、もう大丈夫だよ」
とこちらを振り向いた。




