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△王子

「あんた人に名前聞いといて、あんたも名のりなさいよ」

 ひなたはかなりムッとしていた。オオガミと槌熊は後ろ手に縛られ子供達は腰を縄で繋がれていたが怖気付くこともなく堂々とやり取りし出した。

「俺様はアロンだ。覚えておくがいい」

「ところでアロン、あんただけ他のドラゴノイドと違って人みたいな顔なのは何故?」

 アロンの容姿は緑色のドラゴノイドだが一人だけ顔つきは人間同様でトカゲのような顔はしていなかった。

「母親に似たんだよ。別にいいじゃないか」

 少し不満そうな表情を見せた。

「確かにサマラに似ているな」

 輝也はぼそりとつぶやいた。整った顔に真紅の髪、身長は喜多屋と同じくらいでひなたを少し見上げるほどであった。

「お前も母を知っているのか、名前は」

「輝也だ。こんなものをお前の母親も持っているだろう。これが知り合いの証だ」

 アイテムボックスから取り出したつげ櫛を見せた。

「確かに大事そうに宝石箱の中に入れている。黄色だけどな。まあいい王と王妃が首実検してやる」

 そのつげ櫛は晴明がサマラ、カグヤ、それと晴海に送ったものであった。


 宮殿に入ると暗い牢屋にぶち込まれてしまった。

「こりゃまた、たいそうなご歓迎だな。何に警戒しているやらだ」

「輝也、大丈夫なの、本当に王様と王妃様を知っているの」

「知っているよ。ただ男の僕じゃないがあのつげ櫛が証明だよ」

 その証明が正しいことを祈る喜多屋であった。


 待たされること数分、王と王妃が揃って階段を下ってきた。もちろんアーロンも

「こいつらだよ。パパとママの知り合いだという人間たちは」

 ヨシュアは立派な青年と成長を遂げていた。自信あふれる表情と貫禄、一国の王としてふさわしい風格であった。そしてサマラもより美しく見た目は上品そうに成長を遂げていた。

「この者たちかアーロン、どれどれ」

 あかりをひなたたちに向けた。

「ふーむ?サマラわかるか」

「この人たちさあ・・・覚えがないけど」

「これを見たら思い出してくれるはずだ。僕はカグヤだった男として今度はこの世にやってきたんだ」

 その手には緑のつげ櫛が握られていた。

「それはドゥーベのお土産!確かにカグヤと同じ目と髪の色、不思議、そう言われれば似ている。あなたも見て」

「確かにそう言われればそうだな。しかし他のものは知らんぞ」

「ヨシュア、この子は晴明の妹だ」

 今度はひなたを引っ張りヨシュアによく見えるように突き出した。

「へへっ、こんにちはひなたです。どうかここから出してもらえませんか。お願い」

 無理をして可愛ぶってみるひなた。サマラは

「そういえば、目の当たりにてるけど晴明はいないの」

「それが・・・別行動なんです。でも本当にひなたは晴明兄さんの妹です」

「早くここから出せよ。ヨシュア」

 陰に隠れていた。オオガミがイライラしてヨシュアに言った。

「あなたは!もしやオオガミさん、すみません。早く牢屋の鍵を」

 緑の顔色が変わったいやそんな感じだで控えていた兵士に急いで命令した。

「パパ、知ってる人」

「何をいうか私の武術の大師匠だ。お前も挨拶するんだ」

 オオガミに鍛えられた辛い思い出が込み上げてきて恐縮しながら息子にも言った。

「ごめんなさいね。上でお茶でも飲みましょう」

 サマラに誘われひなたたちは無事牢獄から解放されたのであった。

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