△晴人ハルトの街へ
晴明はヘミングの小屋で眠れぬ夜を過ごした後、ピコーナにまたがり付近を飛んでオオガミの探索に必死になっていた。
「ピコーナは何か感じないかオオガミさんの居そうなところが」
「難しいピコ、方角さえわかればなんとかなりそうだけど、どっちに行ったと思うピコ」
晴明は卦のウインドウを開き、吉方位を測ってみた。
「フガクのある方へ飛んでみてくれるかな。なんだか特殊な卦がでたんだ」
期して正解ではあったがすでにひなたたちと共にドラゴニアに向かっていたのだ。
フガクの頂上に立つ晴明は世界樹の前にいた。
「いにしえのおぼえをひめしせいれいのそのことわりをときほぐす 接触感応」
その大きな幹に触れ残留思念を探ったとたん
「遅かったか、確かにオオガミがここに居たが妙だな。ひなたがどうしてここに」
同時に槌熊や子供たちもいることに気がついた。
「みんなでここからどこへ?・・・・!そうか、行くぞドラゴニアに」
ピコーナは最高速で竜の都へ向かっていった。
晴人といえば、ナガクの蕎麦屋を出ると飛行船でハルトの街へと向かっていた。
「どうもこちらの情勢も十五年で大きな変化があったようだな」
「でも私たちの世界に比べると災害の被害がなくて不思議よね」
「ヤーシャはどこにいるんだろうな。名古屋の研究所で見た時は少し洗脳された時の工作員のような面持ちだったがな」
軽足は娘ヤーシャの身を案じていた。
「そうよね。普通の人間というより魔族に近い雰囲気になってたね。どうしちゃったんだろう」
転生前の姿を知るタマモの意見に
「天鼓に聞くしかその心境はわからんな。天鼓は間違えていないと言い切ったんだろ」
「そうあなた、だから心配なのよ。前みたいに仲良くできないのかな」
タマモの両親は迦樓夜叉に殺されていたがいつまでもそんなことを気にしてはいなかったが不安が湧き上がってくることが抑えられないでいた。晴人はそんなタマモの肩を抱きしめて
「大丈夫さ、信じてあげなさい。それしかいえないがな」
優しく笑って額にキスをした。
「晴人の旦那、ありがとな俺も信じているぜ」
そうしてガルト共和国に到着したのであった。
突如飛来した飛行船に神殿からは神官たちが出てくると船を取り囲んでいた。
「そんなに警戒しなくていい。俺は晴人だ。誰か責任者を呼んでくれ」
タラップから降りるとそう言って腕を組み待ち出した。神殿から一人飛び出してきたガーラッドは
「お久しぶりです。晴人様、ガーラッドです。どうぞ中へ」
その言葉に従い、タマモ、軽足、鬼無瀬と共に神殿に入っていった。