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△オオガミ覚醒

 アオイが近くの湧き水を汲んでオオガミも顔を拭いていると目を覚ましあたりを見渡した。

「誰だ、お前たちは・・・俺に構うな」

「オオガミさん、警戒しないでください。敵じゃありません」

「どうして俺の名前を知っている。お前たちは何者だ」

 警戒の色を滲み立たせ。不審そうな目つきでひなたらを眺めていたが、アオイとアカネを見て

「そこの二人は双子なのか」

 突然声をかけられたアカネは

「そうだけどなぜ?僕はアカネ、妹はアオイです」

 オオガミの顔に変化があった。一方、喜多屋とひなたも妙な既視感を感じて二人で顔を見合わせて

「ボクはひなたでこいつがヤジロウ、なんか前にあった気があるんだけどそんなことないよね」

「それと僕が輝也、君の知っているカグヤと同じ存在だ。ところでどうしてこんなところにいる」

 輝也の顔をじっと見るオオガミは

「俺の知っているカグヤは女だった気がするんだがな。しかし嘘じゃないことはわかる。俺もどうしてここにいるのかはわからん。ただあの山の頂上に呼ばれている」

 山を眺めるオオガミに

「あの頂上は世界樹が生えていると聞くがその木に呼ばれているのか」

「わからないが目覚めた時にあの山までのヴィジョンが見えていた。ところで俺が質問してもいいか」

「僕たちのことかな。僕はカグヤの記憶を持つクローン体でこの子は晴明の妹のひなた、晴海のいとこの喜多屋ジロー、晴人の旅館の料理長のアカネとアオイです」

「晴明に妹なんかいたか?確かにタマモと似ている気がするが」

「彼女は君が黄泉津(よもつ)に捉えられた後生まれた子だ」

「そんなに時が流れていたのか・・・聞きたかったことはそれだ。どうなったんだあれから」

「僕もあの戦いでは途中からリタイヤしたので伝え聞だがオオガミは稷兎(きびつ)遺跡で黄泉津に捕まって晴人たちと別れ別れになり、異世界をこの地球に転移するためのエネルギー源として十五年の歳月拘束されていたんだ」

「十五年・・・それで黄泉津のやつはどうした」

「天鼓に滅ぼされたと聞いていますが、検証はできていません」

「晴人は無事なのか、晴明は」

「みんな元気ですよ。オオガミを心配しているよ。早く伝えないと」

「そんなのはいつでもいい、ここはユートガルトなんだな」

「いえ、アガルタです。同じく現世に転移されてきています」

 オオガミは空を見上げた。

「黄泉津の目はないようだな。大体はわかった、それじゃ俺は頂上を向かう」

 立ち上がって前に進もうとするが倒れてしまった。

「ちょっと休んでください。かなり体力を失っているようでまだ無理ですよ」

「みんなでお昼にしようよ。アカネ、アオイお願いね」

「みんなで少し移動しましょう。あそこに湧き水が湧いているところがあります。ヒクイドリさんにも休憩よ」

 喜多屋と輝也に肩をかされながらオオガミも移動していった。

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