△ラルヴァンダードふたたび
アガルタのあたらしい地図をしばらく見つめる晴明
「ドラゴニアに行く前に他の街へも行ってみたいが執政官に変わりはないんでしょうか」
ラルヴァンダードも他にホルミスダス、グシュナサフと元地底世界には三つの都市があった。ダルトンの母、リボソームももその一人だ。
「マンマは引退したぜ。新しい執政官が十五年前に見つかってな」
「そうですか。リボソームさんはどうしているんです」
「ああ奥で店を手伝ってくれているぜ。マンマ!晴明がきてるぜ」
厨房へ声をかけると
「天も一緒かい!」
飛び出してきたリボソームの第一声は天鼓のことであった。
「天鼓はいません。私だけです」
「そうかい、どうしてるんだろうねあの子は・・・何か情報はないのかい晴明」
どうもこの世界に天鼓は姿を見せていないようだ。魔王としてこの世界を征服しようとしていることは伏せながら
「おそらく元気だと思います。ところであなたが抜けた後ホルミダスはどうなっているんですか」
「晴人さんの知り合いが執政官しているさ。ヘミングってやつだ」
父の知り合い?特に聞き覚えのない名前だったが
「そうですか知り合いなんですね。これから行ってみようと思います。それ失礼致します」
とレストランテを後にしようとすると
「あんた待ちなよ、今煮込み終わったトリッパがあるから食べてきなよ」
トリッパは牛などの反芻動物の胃の煮込み、ホルモン料理である。
「少しお腹が空いてきたところです。ありがたくいただきます」
トリッパのトマト煮込みとパスタはラグーたっぷりのリングイーネと一緒に早めの昼食取る晴明だった。
「ところでこの世界はこれからどうなっていくだよ晴明」
どこへ行ってもエンド・クエイク後の話ばかりである。
「心配しなくても今まで通りになるようになんとか頑張ってみます」
「あんたと天がいればなんでも叶うような気がしてくるよ」
晴明もそうなればと願っているのであったが
「ごちそうさまでした。美味しかったです。それじゃホルミダスへ行ってきます」
店を出ると見送るダストンとリボソームの前で飛び上がると空高く消えて行った。
「マンマ、すごいなあいつは船なしで飛んでいたぜ。マジでなんとかしそうだな」
「あの子達が世界の希望なんだよ」