△勢揃いの召喚
「ひなたは消化不良気味だよな。イワザルならパワー系だからそこそこ相手になると思うよ」
召喚されたイワザルは喜多屋が初めて呼んだメダルだ。襲撃してきたドラゴノイドをボッコボコにした強者だ。顔には梵字が刻まれた包帯を巻きその耳を覆い隠し筋肉隆々な真っ白な毛をはやした大猿だ。(*「ひなたの東海道中」ep.23 ヤジロウ戦う)
「えーめっちゃこの子も強いじゃん」
「手合わせしたいって言い出したのはひなただろ。つべこべ言わずに立ち会えよ」
「ヤジロウは命令してるだけじゃないのよ。偉そうにやってやるわよ」
顔を両手でぱんぱんと叩くとイワザルに頭から体当たりをして押し始めた。相撲でいうぶちかましのような体勢だ。ひなたの押しにイワザルが押され始めた。徐々に後ろに後退していくアカネにアオイも大声援だ。
たまらずイワザルは寄り詰められ腰を落とし、ひなたの体を腹に乗せてひねるようにしてに投げ捨てようとしたがひなたは体を交わし逆にイワザルをくるりと投げ放った。床に沈むイワザル、ひなたは雄叫びを上げた。
「さすがひなた!力なら一番だね。イワザルも褒めているよ」
喜多屋はイワザルをメダルに戻してすぐさま次のキカザルを召喚していた。
「喜多屋すごいじゃないか。次々と召喚して大丈夫なのかい」
「それが何ともないんだ。最初の頃は力んでいたみたいなんだ。卵の殻を割るのようなイメージなんだ今は」
「それよそれ、喜多屋くん掴んだじゃない。自然体で術を展開できれば三匹召喚も今ならできるわよ」
振り向くと鬼無瀬も見学していた。
「そうですかリサ先輩、やってみますね」
残り二枚のメダルを取り出すと
「ノウマク サンマンダ ボダナン バク!みんな来い」
ミザル、イワザルが現れ、三匹揃ってポージングをしていた。
「虎の一件でレベルが上がったみたいだね。実戦に勝る勉強はないってことか。すごいよ喜多屋」
輝也は三匹を眺めながら喜多屋の肩を叩き感心していた。鬼無瀬は喜多屋の頭を撫でて
「次は合体よ。前に私が唱えた文殊菩薩の真言覚えている」
「ええ、大体はやってみますね」
喜多屋は三体に手のひらを向け
「オン ア・ラ・ハ・シャ ノウ!」
ズーンと起動音のような音がすると三体の輪郭がぼやけ一つになっていく
「おっ!坊主やればできるじゃないか。まずまずだな」
現れた槌熊は喜多屋の成長をよくみていた。
「安定しそうなのか槌熊」
「カグヤか、うーむ力を使うと今にも合体が解けそうだが、何もしなければこの姿を保てそうだ」
「それはよかった。喜多屋が成長すればメダルの呪縛が解けそうなのか」
「それは無理だろう。やはり術をかけたバスクルが解呪しないとダメだろう」
トレーニング場に放送が流れた。
「皆さん早くドーマハルト号に乗船ください。出港します」
ベルデからの報告であった。




