△アガルタへの道
「つまり、あなたたちの組織は黄泉津と手を切ったということなんですか」
ヘイ・オン・ワイは黄泉津によって作られた組織、その当主は長い年月の間、晴明の父、晴人を観察し続け記憶の継承を行なっていたのであった。
「そうなりますね。私は記憶の継承の儀式を受けていません。父ゼペットは後は天鼓に従えと言ってどこかへ出て行ってしまったからです。リリはその前に天鼓の元へ行ってしまい。私は家族を失くしてしまいました。そして天鼓の使者バスクルから指令を受け天鼓の配下として活動を始めたのです」
淡々と語る表情からは覇気はなかった。
「その指令は情報集して天鼓に知らせるということですか」
「そうですね。しかしこのユートガルトの情報ではなくあなたの世界の情報です。今エージェントは世界中に散らばり各地の情報を調査中です」
「もしかしてエンド・クエイク以前から派遣していたのではないですか。そうでなければ意味がない」
「さすが晴明様、おっしゃる通りです。エイジェントたちは天鼓様の元で主要な国の言語、情報を直接ダウンロードされ潜入しています」
晴明は天鼓の周到な計画に感心していた。
「ズバリ聞かせてください。天鼓はどこへ行けば会えるんですか」
「わかりません」
あっけない即答に少し怒りをあらわにする晴明は
「どうやって収集した情報を伝えているんですか!全く訳がわからない」
「バスクルなら居場所はわかります。ハルトの街へ行きなさい。私が話せることはそれだけです」
「わかりました。ハルトの街に行ってみますが後一つ、オオガミの行方は分かりますか」
「彼の行方はわかりませんがエンド・クエイクの儀式の場所がヒントになるでしょう」
「その場所はどこです」
「黄泉津の目と呼ばれる場所に幽閉されていましたが大迷宮と共にあなたの世界へ転移されたはずです」
黄泉津の目は地底世界アガルタの太陽であった。つまりオーストラリアの北に出現した大陸である。
「アガルタにいるかもしれないということか。なんてことだ」
「ただ今のアガルタはドラゴニアの国です。天鼓には協力していません。王であるヨシュアの考えはわかりません」
「次はヨシュアに会いに行かないといけないのか」
晴明は屋敷を出ていくのであった。




