△異世界大陸へ
「おはよう、あれ?晴兄はまだ起きてないのかな」
ひなたは朝食の席に兄がいないことに気がついた。
「今朝も寝癖すごいよひなた、ひな兄は昨日の夜風呂に入ったあとすぐ出ていっちゃたよ」
焼き鮭を食べていた喜多屋が答えた。
「ジローちゃん!なんですぐ言わないの!あの子たっらまた勝手に母さんにも黙って出ていくだから」
「だってこの部屋にリサ先輩と爆睡していたんだもん」
鬼無瀬も
「一人でどこに出ていったんでしょうか」
「異世界大陸に行ったんじゃないでしょうか。あの会議の内容からすると」
輝也が言うと喜多屋は
「そう言ってました。みんなには飛行船が完成したら家に戻って待っていろと僕にはリサ先輩からメダルを召喚する技をよく学んで槌熊さんを呼び出せるようになりなさいと言われました」
「でもどうやって行ったのかしら?」
「きっとピコーナを呼んだのよ」
「ママ、ピコーナって何」
「フーちゃんと同じ神獣の朱雀よ。晴ちゃんが卵から孵したのよ。それに乗って飛んで行ったんんじゃない」
「えー私も乗りたかったな」
そんな話をしているとベルデがやって来て
「皆さん今日の夕方にはこの船を出せそうです。準備をしておいてください」
予定よりも早く出航ができると報告にやって来たのだった。
「わーい、パパに会えるね。アオイもアカネも」
「旦那様、お客様がお見えですがどういたしましょう」
タエが炊き出しを配っている晴人に報告に来た。
「書斎に通しておいてくれすぐにいく」
手伝いをしてくれている白鳥夫妻にその場を任せて旅館に戻るが妻に注意されていたアニメのTシャツに気が付き慌ててセーターを着て書斎に向かうと舎利弗がいた。
「おお久しぶりですね。こんな時にこんなところまで来て大丈夫なんですか。官房長官様が」
「何を言っているんですか八雲さん、こんな時だからこそあなたのところに来たんですよ」
「東京からここまでくるには大変だったでしょう」
「いや予めエンド・クエイクのため神戸には戻って来ていたんだよ。ここまでは歩いてだがね。やっぱり体がかなり鈍っていたよ」
豪快に笑う舎利弗だが目は真剣そのものであった。
「それで政府はどう対応する方針なんですか」
「安心ください。すべてあなたと宝蔵院の考えたプランで動いております」
「それなら壊れた建物はともかく生活インフラの復旧は数日で終わると言うことだな」
「警察、自衛隊を中心にミッションE.Qは実行されました。十五年の準備は無駄ではなかったですな。それより晴明氏はどこですか」
「昨晩連絡があったよ、単独で異世界大陸に向かっている。天鼓との交渉のために」
「一人でですか・・・彼なら心配はいらないと思いますが私に協力できることはありませんか」
「今は治安維持に全力を向けておいてくれこれから暴動や略奪が起こるであろうから、もうしばらくすれば飛行船の配備が終わるはずだ。それを待って私は家族と共に晴明を追うよ」
「家族ですか!まあ最強のご家族ですからね。心強いと言えばそうなんですがまたしても世界の命運を背負わせてしまうことになるんですね」
「仕方がないよそれが運命だからな」
晴人はスッキリした顔で答えていた。