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△ナガクの蕎麦

 異世界大陸の朝が明けていくピコーナに抱かれ眠っていた晴明は行動を開始した。

「空から見た感じではここはナガクに違いないんだがさて、ピコーナ姿を変えてついて来れるか」

「ちち、それよりアストラル態になってちちの体に寄り添わせてもらうピコ」

 と言うとその大きな鳥の体は霧状となり晴明にまとわりつき消えて行った。

「ふーん、そんなことができるようになったんだ」

「伊達に長生きはしてませんからピコ、ご会話は心の声でピコ」

 晴明は街へ向け歩き出して行った。


 ナガクは大昔より鉱山の街として栄えていたが十五年前はこの大陸の秘密情報機関の本部があった。ヘイ・オン・ワイと名乗る晴明の父、晴人が王として統治した国の情報機関である。情報局員はアルファベットをコードネームに用いてZ(ゼット)と言うヘッドがいる街だ。

 街に入ると晴明が当時訪れた時と同じく賑わいを保っていた。こちらの大陸では地震が起こっていないかのようであった。しばらくはあちらこちらを彷徨い過ごしていたが朝食をとっていなかったので無性に腹が減って来ていた。幸いアイテムボックスの中には昔この街で使ったお金が残っていた。

「あの蕎麦屋はまだやっているかな」

 水車で石臼をまわし蕎麦を挽いていた店のことを思い出していた。記憶を頼りに店を探すと情報収集のついでにと暖簾をくぐって行った。カウンターに席を取ると盛りをオーダーした。注文をとりに来た獣人の娘に

「4、5日前に大きな地震が起こらなかったか」

「いいえ、そんなことはなかったですよ。お客さんはどちらから来たんですか?」

「トンネルを超えて今朝ここについたんだけど」

「やっぱりハルトの街の方なんですね。向こうでは地震があったんですか」

 ハルトの街とは人間族と竜族の暮らす街であった。トンネルの向こうは十五年前までは獣人や魔族は通行できない国であったが晴明たちが黄泉津迷宮を解放して自由区になったはずなのだが、そう言えば街に人間族の姿を見かけていなかたっことに気がついた。

「珍しいのかいハルトの街から来た旅人は」

「ドラゴニアの王様が鎖国といってもゆるやかな規制を数年前に発布した時からは来る人も減りましたね」

「ありがとう、仕事の邪魔をしちゃってすまない」

 ドラゴニアの王は晴明の同い年のヨシュアという竜族の青年だ。彼にも会って情報を得たいがまずはゼペット・ゴランだ。

 蕎麦は相変わらずうまく三枚お代わりをしてしまった。勘定を机に置いて店を出た。

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