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◎新しい命と侵略

 弥生三月、水宝玉(アクアマリン)が誕生石となる。晴人が異世界から戻って九ヶ月が過ぎようとしていた。その日、研究所にある異世界への通路が閉ざされたと天ミニからの連絡があった。

 しばらくすると学校から晴明が帰ってきた。

「晴明、異世界(むこう)へ行けなくなったようだ」

「えっそれじゃ何も情報が入らなくなったてこと」

「向うも手の内を知られたくないんだろう。そろそろ何かやってくるつもりなんだろう」

「十五年とか言ってたじゃない」

「そんなこと真に受けていたら足元をすくわれるぞ。こちらも備えておかないといけないな」

「天鼓もいまだ何も連絡がないけど、向こうにいるのかな」

「どうだろう卦で調べても全く手掛かりがない。あの三人のことだから心配はいらないがいやな予感だけが日に日に膨れて、そっちも気にはなっている」

「父さん実はね、夢を見るんだあの三人の」

「今俺が言ったことのようなものか」

「うん、昔の奠胡(てんこ)迦樓夜叉(かるやしゃ)槌熊(つちぐま)の姿でこっちを見ているんだ」

「予知夢じゃなければいいんだけどな。晴明あんまり心配するな、そのせいだ」

「旦那様!」

「どうしたんだタエさん」

 板長の妻タエは年末出産をして赤ん坊を旅館の託児室、晴人が自分の娘の為にもと改装した部屋であるがそこに双子の娘と共に働き始めたところであった。

「女将さんが産気づきた用です病院へお願いします」

「父さん急がなくっちゃ早く」

「おう」

 というと陽子のところへと行き取って返すと自家用車ですぐ近くではあるが産科医へと向かって行った

「陽子大丈夫か」

「あなた心配し過ぎよ。二人目よこの感じはまだまだ大丈夫よ」

「母さんほんとに」

「晴ちゃんも心配しないで妹にもうすぐ会えるわよ」

 病室に入ると晴人と晴明は室内をそわそわと歩き回っていた。

「もうあなたたちこっちが落ち着かないわ、じっと座っててくれない」

 と言った途端地震が起こった。震度は4くらいだろうが突然停電した。非常用電源にすぐに切り替わったがあたりは真っ暗だ。

「陽子大丈夫か」

「あなたたちが落ちゆかないから地球もそわそわしてるだけよ」

「!晴明感じたか」

「異世界のゲートがすぐ近くで開いたみたいだね」

「私は大丈夫だからすぐに見に行って」

「でも・・」

「いいから、あなたたち以外だれがいるっていうのよ。私が行っちゃうよ」

「わかったよ。晴明行くぞ」


 病院を出て車に乗るがエンジンがかからなかった。

「ちくしょう!そんな遠くなさそうだに走るか」

 二人は暗闇に走り出した。4キロほど先の畑に異世界ゲートが開いていた。

「何かいるよ(ルーチェ)

 晴明は上空に光球を放った。


 畑の真ん中に異形の生き物がいた。4つ足の馬か何かのようだが上部はカマキリだった。

「なんだこいつは向こうの世界にこんなやつはいなかったぞ」

「父さん、気を付けてこっちに気が付いたみたいだよ」

 カマキリもどきは二人に襲いかかってきた。二手に分かれ晴明は剣を取り出したのだった。

 まず最初の一撃は晴明、カマキリもどきは晴明の剣をはじいて素早く次の一撃を放った。晴人の火弾(ボイデ)が馬の部分を打ち抜いた。よろけたところに晴明の一撃、片方のカマを撃ち落とした。激情したカマキリもどきは高速で残ったカマを振り回し晴明に迫った。にやりと笑った晴明は霞の構えを取ると

「無想閃光斬!」

 カマキリもどきの胴体を切断した。

「よくやった。でもこいつはなんだ」

 スマホを使おうとする晴明は

「父さんこれも動かないよ」

「自動車といいスマホまで使えないのか。取り合えず死体を晴明アイテムボックスに仕舞って研究所に持っていくぞ」

「ええっ気持ち悪いな」

 といいながらボックスに収納するとスマホが鳴った。

「使えるみたいだよ。はい、天ミニ?うん地震が起こったよ」

 しばらく通話してスマホを切った。

「震源地はここだって、向こうでも通信が不能になったけどたった今回復したんだって変な生物と戦闘してアイテムボックスに収納したといったらすぐに持って来てくれて行ってるよ」

「こいつが元凶だっていうのか、でもすぐには無理だよな晴明」

「そうだよね。あとで言っておくよ。早く病院に戻ろうよ」

 あたりは戦闘で畑のサツマイモが掘り起こされていた。空には満月が昇り始めていた。

「芋に月か、そうか芋虫月だな今日は」

「芋虫月ってなに?」

「ネイティブアメリカン達が月に名前をつけているんだ。この3月は冬の休眠から目覚めたさまざまな幼虫が地上に現れるからだそうだ。ワームムーンていうのさ」

「それでこんな変な虫も現れたのか」


 病院へ戻ると陽子は分娩室に入っていた。二人はドアの前で先ほどと同じようにそわそわと歩き回り始めた。

「おぎゃー」

 大きな産声が聞こえた。

「どうぞ中へ入ってください」

 看護婦に言われ大急ぎで飛び込む二人


 陽子は二人に抱いていた赤ん坊の顔を見せ

「ほーらパパとお兄ちゃんだよひなた」

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