◆バケーション
晴人は虚無感に苛まれ恍惚の表情を浮かべる白兎を残し下山しバスクルが呼んで迎えに来たダルトンと共に意識のない天鼓たち三人を搬送してラルヴァンダードまで戻った。
「晴人大将よ。ベルゼブブを倒してなんとか遺跡に向かって、向こうの世界へ戻るんじゃなかったのかい」
晴人はキビツ遺跡でのこと天鼓たち三人が石版に触れて意識を失ってしまったことを語った。
「そうかよ大変だったな。湿気たツラをしていると思えばそんなことがあったのかい。そんなときは女房の面を拝めばいいんだよ」
晴人は何もしゃべらなかった。
「ところでバスクルは何処へ行ったんだ」
「地上に戻ってマナーコまでお使いを頼んである」
「向こうの地理には明るくないが聞くところマナーコってとこはあいつの足でも二日は戻って来ないんじゃないか。どうだいこのラルヴァンダードでゆっくりバケーションを取れば気も紛れるんじゃねいか」
晴人の顔が緩みかすかに笑った。
「そうだな、どうすることもできない時に悩んでいても仕方がない。何か提案はあるのか」
「そうさな。釣はできるか」
「最近も何度か息子と競争をしたな。道具はあるのか」
「俺の竿を貸してやるからこの街から大ヒクイドリで北へ向かった湖がおすすめだ」
ダルトンに準備を整えてもらい三人の世話を頼み湖へと向かって行った。