表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
509/628

◆白兎の願い

 自らとその家族をとんでもない運命に巻き込んだ張本人が目の前に立っている。文句を言ういやそなことよりその因果律で結ばれた盟友が危機なのである。

「あんたが稷兎(きびつ)と呼ぶオオガミはどうなっているんだ。黄泉津(よもつ)は何をしようとしているんだ」

 晴人に向かってにぎり合わせた手を解き

黄泉津(よもつ)と私のことから説明いたしましょう。タカアマーラからの使命を帯びた黄泉津(よもつ)稷兎(きびつ)そして卑弥呼の三人は最初の頃は皆で手を合わせ使命を果たそうとしておりましたが長い過酷な月日の中、袂を別つようにそれぞれの道を歩み始め、私と長い旅のすえ稷兎(きびつ)と結ばれました。そして再び三人が出会うこととなった時に事件は起きました」

 それは晴明から聞いたかこの世界のことであったが晴人は聞き続けた。

「そのころすでに黄泉津(よもつ)は正気を失っておりました。タカアマーラの意思から離れ黄泉の国からの悪魔と手を結んでおりました。そして生者の世界の支配を企んでおりました」

 晴人はそこで口を挟んだ。

「ベルゼブブと手を組んだというのか」

「いえそのような者ではございません。魔族の王と契約を結んだのです。稷兎(きびつ)と卑弥呼はそれに抗い戦いを挑んだのでした。もちろん私も稷兎(きびつ)と共にその戦いに加わりました。卑弥呼の犠牲もあり戦いは終わったように思えましたが、稷兎(きびつ)は記憶を失いわたしは黄泉津(よもつ)の従者に捕らえられたのでした。そして黄泉津(よもつ)の計画に従う代わりに稷兎(きびつ)の安全を確保したのです」

 稷兎(きびつ)のたどった軌跡を聞き晴人は

「その安全が今回のことだというのか。あいつはどうなるんだ」

「彼の不死の能力を使いこの世とあなたたちの世界をつなぐ装置を作動させるのです。およそ十五年の歳月に及ぶ彼の命を使って」

「そいつを止めるすべはないのか教えてくれ」

「ありません、これから彼らは別次元へと隠れ時を待っているでしょう」

「あんたはそれでいいのか!オオガミが大切なんだろう」

「この試練を乗り越えれば彼は私のもとに戻ってきます」

 彼女もまたまともではないと晴人は感じたのであった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説家になろう 勝手にランキング

↑「多くの方に読んでもらいたいです。勝手にランキングに参加していますので面白いと思ったらクリックしてもらえると嬉しく思います」

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ