◆未読のモノリス
「それでバスクル、何を思い出したんだい。興味深い話だろうね」
「マスター天鼓、ベルゼブブ討伐おめでとうございます。マスターなら必ず可能であると信じておりました」
「そんなことはどうでもいいよ、それより早く話して」
教皇の間では挨拶もそこそこに本題へと話は進んでいた。
「この度は世界樹の山へ向かわれるとのことですがあそこにも石版があることに気が付かれましたか」
「いや気が付かなかったがリボソームの船で直接頂上へ向かったから周りはあまり調査できていないから」
「そうですか、私が地底世界へ来て数十年もたったころでしょうか。あの世界を放浪してみたくなりまして、あの山の頂上に世界樹があることはモノリスからの記憶で知ってはいましたが直に拝見しようと登山に向かいました。その登山口に大きめの石版がございましたが、触れて見ても何も語りかけてきませんでした」
「どうしてかわかるか」
「おそらく私の許容量を超える情報だったのでしょう。あの世界の石版をすでにいくつか取り込んでおりましたから」
バクスルはゆっくりと思いだすように話した。
「気になるな。そのモノリス、つちぐま、なにかわかるかな修羅猿たちの記憶に情報はないかな」
「笑える話はあるな。ガル、ゲル、グルたちもモノリスを見つけたことがあるが三匹揃って触って見てもモノリスは語り掛けなかったことがあるそうだがそれを見てひとりの少女がモノリスに触れると飛行船の知識を得たそうだ。それによって地下世界に空路ができたということさ」
「なるほど、容量という考えはありそうですね。しかし飛行船までよもつの知恵ということですか」
そこまで聞いて晴人は
「登山道具一式を用意して迷宮に潜るということだな。ガ―ラッド君頼んだよ」
世界樹登山が決まったのだった。